Michael&Wesley Snipes&JB&Spike Lee その3
JBは2006年のクリスマスの日に、その波乱万丈でドラマティックでハチャメチャで、いいにつけ悪いにつけパワフルな人生の幕を閉じました。
直前まで、そして翌年もスケジュールはぎっちりと入っていた、73歳にして普通に現役、The Hardest Working Man in Showbiz(ショウビジネス界いちばんの働き者)と呼ばれていたKing of SOULは、ようやく長い休暇を手に入れたのでした。
彼の葬儀に出席する為に、マイケルも長らく留守にしていたアメリカへ戻ってきます。
葬儀を取り仕切った、マイケルとも親しい公民権運動指導者のアル・シャープトン牧師は、JBがマイケルに残した伝言を伝えます。
Tell him I love Michael.
Tell him don't worry about coming home.
They always scandalize those that have the talent.
But tell him we need to clean up the music and I want Michael and all of those that imitated me to come back and lift the music back to where children and their grand mommas can sit and listen to the music together.
俺がマイケルを愛していることを彼に伝えてくれ。
何も心配せずにお前の国へ帰ってこいと伝えてくれ。
才能ある者はいつもスキャンダルで騒がれてしまうもんだ。
でも彼に伝えて欲しい。俺たちはこの音楽の世界を掃除する必要がある。
マイケルを始め俺をまねたみんなに、今の音楽の世界を、子供とそのおばあちゃんが一緒に座って聞けるような、そんなmusicに引き戻して欲しいんだ。
--------------------------------------
さまざまなカテゴリーに分けられてしまったMusic。
HIPHOPを聞く人とカントリーを聞く人は、同じ空間で共存しない・・といった感じでしょうか。
JBが伝えたかったことを、マイケルはずっと感じていたと思います。
彼は2001年、ファンとのオーディオ・チャットイベントに参加した際、奇しくもこのように語っています。
(2001 online-audio-chat ソースはこちら)
I don't believe in stylizing or branding any type of music.
I think a great artist should be able to just create any style, any form, any...any thing from rock to pop to folk to gospel to spiritual to just, just wonderful music where every, uh, anybody can sing it, from the Irish farmer to a lady who scrubs toilets in Harlem.
If you can whistle it and hum it, that's the most important thing.
僕はどんな音楽に対しても、それらをスタイル化したりブランドをつけたりすることを良いことと思わない。
偉大なアーティストはどんなスタイル、どんな形態の曲でも作れるべきだし、ロックでもポップでもフォーク、ゴスペル、スピリチュアルまで、ただ素晴らしい音楽をね、どんな人でも歌えるような、それこそアイルランドの農夫からハーレムでトイレ掃除をするレディまでさ。
その曲を口笛で吹いたり口ずさめること、それが最も重要なことなんだよ。
---------------------------
マイケルはこの時のインタビューでラップに関して興味深いことを話しています。
もともとラップというのはリズミカルなしゃべりで構成され、それに加えてライムと呼ばれる「韻」を踏むことでさらにリズムが面白く変化するものですが、それだけだと言語が限定され、聞く人自体も限定されてしまいます。
そこへわかりやすいメロディが加わったことで、より多くの人に受け入れられやすくなったと。
メロディは不滅だから、メロディ性が重視される限り、ラップは生き残るだろうと。
国や人種、職業や環境などの外側だけの区分けを、音楽のジャンル分け同様嫌った彼ですから、言語が違えども年齢が違えども、どんな人でも気軽に口ずさむことができるわかりやすくて美しいメロディ、それをとても大切にしていたことが伺えます。
2008年マイケルと仕事(彼のnewアルバム)でコラボしたNe-yoもこんなことを話しています。(ソース)
彼は、僕がメロディをどう捉えているかについてを、高く評価していると言ってくれました。
彼の音楽はメロディこそがすべてでしたし、彼からの唯一の具体的な指示といえば
「歌はできる限りメロディアスなものを心がけて。僕はそこへ立ち返りたいんだ」ということでした。
-----------------------------------
永遠のアイドルでありヒーローであり、自分に本当に大きな影響力を与えてくれたJBの願いは、彼の作品創りにおいて信条とすることでもあり、それはご自身の願いにもなっていったのではないでしょうか。

子供とそのおばあちゃんが一緒に座って聞けるような、そんなMusic。
アイルランドの農夫からハーレムでトイレ掃除をするレディまでが歌えるようなメロディを。
外側がどうであっても、誰もが一緒に口ずさめる、一緒に楽しめる、そんな歌。
そんな歌ならば、必ず受け入れられる。
そして、長く愛されてゆく。
大切なのはその本質。
最新の機材と最新の技術、そして斬新なアイデアによるクオリティの高い音。
それも革新者としての彼のこだわりであったでしょうけれど、それと同時に曲を作る上で一番重要だったことは、JBの伝言と自身の信念を守ること。
Ne-yoに「メロディアスという原点に立ち返る」と言った彼からそんな想いを感じます。
上記のチャットイベントでの別の質問。
完ぺき主義ゆえアルバム発表が他のアーティストに比べて遅いマイケルに、長く待たせすぎて聴衆が去ってしまわないかという不安はありますか?というのに対して、彼は断固としてこう言いきっています。
I'm, I'm ... No, the answer to your question is that has never concerned me once and I've never thought of it.
Because I've always known if music is truly great or if a movie is truly great, people want to see it or hear it.
No matter where you, how long you've been away, or whatever the situation is. You know, greatness is greatness and if you really do a great job on what you're doing, people want to hear it. Or they want to see it.
You know, it doesn't matter, It really doesn't. Long as you're an innovator and a pioneer, you know.
And that's the most important thing.
Give them what they want to hear.
僕、僕は・・それはないね。君の質問に対する答えとして、僕は決してそのような事を心配したことがないし、考えた事さえないよ。
なぜなら、もしその音楽や映画が本当に素晴らしければ、人はそれを観たいし聴きたいと思う事を、僕は常に知っているから。
アーティストがどこにいようと、どれだけ長く離れていても、どんな状況だとしても、それは問題じゃないんだ。
そうでしょう?素晴らしいものは素晴らしいんだし、もし自分が本当にそんな素晴らしい仕事をしているなら、人は必ず聴きたいし観たいと思うはずなんです。
状況なんて関係ない。本当に関係ないんだよ。革新的なパイオニアでいさえすればね。
そしてそれこそが最も重要なこと。
みんなが心から聴きたいと思う音楽をだすことなんです。
自分を取り巻く望まない状況や、偏見、疑い、ブランクを危ぶむ声。
大きすぎる成功を成し遂げた日から、すでに始まっていた逆風。
外側で判断されるいわれのない屈辱的な誤解。
しかし、それらにひとつひとつ反論したり訂正を求めたりするよりも
みんなが心から、観たい、聴きたいと思う作品を
誰もが自然に口ずさめるメロディを
誰もが喜んで真似たくなるパフォーマンスを
違う世代が一緒に楽しめるMusicを
そんな素晴らしいものを妥協なく創りあげ、世に出すことが一番の解決策だと。
常に「The best is yet to come 最高はまだ来ちゃいない」を口癖にして
彼は守り通したのですね。
自分の確信した揺るぎない信念と、彼のヒーローJBの願いを。
彼は常に曲を作り続けていましたし、それは当然ご自身のアルバムに繋がる作業でした。
その作業と平行して決まったTIIのライブ。

その音楽や映画が本当に素晴らしければ、人はそれを観たいし聴きたいと思う事を、僕は常に知っているから。
アーティストがどこにいようと、どれだけ長く離れていても、どんな状況だとしても、それは問題じゃないんだ
まさにこんな気持ちでいたのかな
きっとファンはわかってくれているって信じているけど
でも長く待たせすぎた彼らに
絶対に期待以上の素晴らしい経験をプレゼントしてあげよう
そんな気持ちで
走り出したのかな
続きます。
直前まで、そして翌年もスケジュールはぎっちりと入っていた、73歳にして普通に現役、The Hardest Working Man in Showbiz(ショウビジネス界いちばんの働き者)と呼ばれていたKing of SOULは、ようやく長い休暇を手に入れたのでした。
彼の葬儀に出席する為に、マイケルも長らく留守にしていたアメリカへ戻ってきます。
葬儀を取り仕切った、マイケルとも親しい公民権運動指導者のアル・シャープトン牧師は、JBがマイケルに残した伝言を伝えます。
Tell him I love Michael.
Tell him don't worry about coming home.
They always scandalize those that have the talent.
But tell him we need to clean up the music and I want Michael and all of those that imitated me to come back and lift the music back to where children and their grand mommas can sit and listen to the music together.
俺がマイケルを愛していることを彼に伝えてくれ。
何も心配せずにお前の国へ帰ってこいと伝えてくれ。
才能ある者はいつもスキャンダルで騒がれてしまうもんだ。
でも彼に伝えて欲しい。俺たちはこの音楽の世界を掃除する必要がある。
マイケルを始め俺をまねたみんなに、今の音楽の世界を、子供とそのおばあちゃんが一緒に座って聞けるような、そんなmusicに引き戻して欲しいんだ。
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さまざまなカテゴリーに分けられてしまったMusic。
HIPHOPを聞く人とカントリーを聞く人は、同じ空間で共存しない・・といった感じでしょうか。
JBが伝えたかったことを、マイケルはずっと感じていたと思います。
彼は2001年、ファンとのオーディオ・チャットイベントに参加した際、奇しくもこのように語っています。
(2001 online-audio-chat ソースはこちら)
I don't believe in stylizing or branding any type of music.
I think a great artist should be able to just create any style, any form, any...any thing from rock to pop to folk to gospel to spiritual to just, just wonderful music where every, uh, anybody can sing it, from the Irish farmer to a lady who scrubs toilets in Harlem.
If you can whistle it and hum it, that's the most important thing.
僕はどんな音楽に対しても、それらをスタイル化したりブランドをつけたりすることを良いことと思わない。
偉大なアーティストはどんなスタイル、どんな形態の曲でも作れるべきだし、ロックでもポップでもフォーク、ゴスペル、スピリチュアルまで、ただ素晴らしい音楽をね、どんな人でも歌えるような、それこそアイルランドの農夫からハーレムでトイレ掃除をするレディまでさ。
その曲を口笛で吹いたり口ずさめること、それが最も重要なことなんだよ。
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マイケルはこの時のインタビューでラップに関して興味深いことを話しています。
もともとラップというのはリズミカルなしゃべりで構成され、それに加えてライムと呼ばれる「韻」を踏むことでさらにリズムが面白く変化するものですが、それだけだと言語が限定され、聞く人自体も限定されてしまいます。
そこへわかりやすいメロディが加わったことで、より多くの人に受け入れられやすくなったと。
メロディは不滅だから、メロディ性が重視される限り、ラップは生き残るだろうと。
国や人種、職業や環境などの外側だけの区分けを、音楽のジャンル分け同様嫌った彼ですから、言語が違えども年齢が違えども、どんな人でも気軽に口ずさむことができるわかりやすくて美しいメロディ、それをとても大切にしていたことが伺えます。
2008年マイケルと仕事(彼のnewアルバム)でコラボしたNe-yoもこんなことを話しています。(ソース)
彼は、僕がメロディをどう捉えているかについてを、高く評価していると言ってくれました。
彼の音楽はメロディこそがすべてでしたし、彼からの唯一の具体的な指示といえば
「歌はできる限りメロディアスなものを心がけて。僕はそこへ立ち返りたいんだ」ということでした。
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永遠のアイドルでありヒーローであり、自分に本当に大きな影響力を与えてくれたJBの願いは、彼の作品創りにおいて信条とすることでもあり、それはご自身の願いにもなっていったのではないでしょうか。

子供とそのおばあちゃんが一緒に座って聞けるような、そんなMusic。
アイルランドの農夫からハーレムでトイレ掃除をするレディまでが歌えるようなメロディを。
外側がどうであっても、誰もが一緒に口ずさめる、一緒に楽しめる、そんな歌。
そんな歌ならば、必ず受け入れられる。
そして、長く愛されてゆく。
大切なのはその本質。
最新の機材と最新の技術、そして斬新なアイデアによるクオリティの高い音。
それも革新者としての彼のこだわりであったでしょうけれど、それと同時に曲を作る上で一番重要だったことは、JBの伝言と自身の信念を守ること。
Ne-yoに「メロディアスという原点に立ち返る」と言った彼からそんな想いを感じます。
上記のチャットイベントでの別の質問。
完ぺき主義ゆえアルバム発表が他のアーティストに比べて遅いマイケルに、長く待たせすぎて聴衆が去ってしまわないかという不安はありますか?というのに対して、彼は断固としてこう言いきっています。
I'm, I'm ... No, the answer to your question is that has never concerned me once and I've never thought of it.
Because I've always known if music is truly great or if a movie is truly great, people want to see it or hear it.
No matter where you, how long you've been away, or whatever the situation is. You know, greatness is greatness and if you really do a great job on what you're doing, people want to hear it. Or they want to see it.
You know, it doesn't matter, It really doesn't. Long as you're an innovator and a pioneer, you know.
And that's the most important thing.
Give them what they want to hear.
僕、僕は・・それはないね。君の質問に対する答えとして、僕は決してそのような事を心配したことがないし、考えた事さえないよ。
なぜなら、もしその音楽や映画が本当に素晴らしければ、人はそれを観たいし聴きたいと思う事を、僕は常に知っているから。
アーティストがどこにいようと、どれだけ長く離れていても、どんな状況だとしても、それは問題じゃないんだ。
そうでしょう?素晴らしいものは素晴らしいんだし、もし自分が本当にそんな素晴らしい仕事をしているなら、人は必ず聴きたいし観たいと思うはずなんです。
状況なんて関係ない。本当に関係ないんだよ。革新的なパイオニアでいさえすればね。
そしてそれこそが最も重要なこと。
みんなが心から聴きたいと思う音楽をだすことなんです。
自分を取り巻く望まない状況や、偏見、疑い、ブランクを危ぶむ声。
大きすぎる成功を成し遂げた日から、すでに始まっていた逆風。
外側で判断されるいわれのない屈辱的な誤解。
しかし、それらにひとつひとつ反論したり訂正を求めたりするよりも
みんなが心から、観たい、聴きたいと思う作品を
誰もが自然に口ずさめるメロディを
誰もが喜んで真似たくなるパフォーマンスを
違う世代が一緒に楽しめるMusicを
そんな素晴らしいものを妥協なく創りあげ、世に出すことが一番の解決策だと。
常に「The best is yet to come 最高はまだ来ちゃいない」を口癖にして
彼は守り通したのですね。
自分の確信した揺るぎない信念と、彼のヒーローJBの願いを。
彼は常に曲を作り続けていましたし、それは当然ご自身のアルバムに繋がる作業でした。
その作業と平行して決まったTIIのライブ。

その音楽や映画が本当に素晴らしければ、人はそれを観たいし聴きたいと思う事を、僕は常に知っているから。
アーティストがどこにいようと、どれだけ長く離れていても、どんな状況だとしても、それは問題じゃないんだ
まさにこんな気持ちでいたのかな
きっとファンはわかってくれているって信じているけど
でも長く待たせすぎた彼らに
絶対に期待以上の素晴らしい経験をプレゼントしてあげよう
そんな気持ちで
走り出したのかな
続きます。
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