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Michael と Steve Jobs その3

ジョブズ氏の死を悼む声は世界中から聞こえ、それはマイケルの時を髣髴とさせる、と何かの記事で読みました。
マイケルの曲を全部知らなくても、あるいはApple製品を一つも持っていなくても、人々はその不在を悲しみ悼み祈った・・世界中で。
ファンでも信奉者でもない普通の人々にさえ、そうさせるこのふたりに共通する何か。

どちらも世界中にその名が知られていたということ。
そしてどちらも旅立つのが早すぎたということ。


ソフトバンクの孫正義さんがジョブズ氏の魅力をNHKの番組で語っておられます。
※世界を変えた男 スティーブ・ジョブズの素顔 ~その1/2はこちらからどうぞ。
ジョブズ氏がこれまで成し遂げたさまざまな革新的な新しいものづくりの発想の原点を問われた孫さんの答えが、わたしにはまるでマイケルのことを言われているように感じました。
よければぜひご覧ください。5:02~7:15

世界を変えた男 スティーブ・ジョブズの素顔 ~その2/2


「彼が、もっと美しくてワクワクするようなものを作ってみせるから、世の中を一変させてみせるから、と言うその語り口は、経営者やエンジニアのものじゃなく、まるでピーターパンがこれから冒険の旅に出るぞ、お前も一緒に空を飛んでいこう!っていう風なんです。目がきらきらと輝いて話すんですね。吸い込まれるんです。一緒に行きたいと思わせる。彼の中にはビジネスのためとか今期の売り上げとか、そういう退屈な発想などなくて、みんなの腰をぬかせてやるぞ、驚かせてやるぞ!というまるでいたずらっ子のような気持ちだったのでしょう」

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マイケルと仕事を一緒にした人もきっとこの感覚わかるんじゃないかなと思いました。
アルバム製作においても、SFの製作においても、今までのライブにおいても・・TIIの時だって・・
この人についていきたい、この人を喜ばせたい、認められたい、この人とならきっとうまくいく・・と。

過去記事にも書きましたが、こういう時にすぐに思い出すのはマイケルの愛する甥っ子3TのTajの言葉。

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いいかい、タジ。こういう時は必ずドヤ顔だよ


That's what I loved about my uncle.
You truly believed like you could do anything when you were with him.
He made you feel like that. He was so inspirational.

僕は叔父さんのこういうところが大好きだった。
彼と一緒ならどんな事だって出来るって本当に思わせてくれるんだ。
そんな風に感じさせてくれる。
すごいインスピレーションを与えてくれるんだ。

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ジョブズ氏もそうだったでしょうけれど、きっと創作過程でマイケルの目にだけは「もっと良いなにか」がはっきり見えていたから、自分や周りの人たちの力を信じて、壮大な冒険の旅路を先頭切って歩む事ができたのでしょうし、だからこそ、周りはそれまでどれだけ「これ以上無理ですよ」と思っていても、彼らの情熱のオーラに引き寄せられ、魅了され、ついていきたくなり、結果的に最高の作品を創り上げることに成功したのだと思うのです。


しかし、ジョブズ氏の話の中で「ピーターパン」という言葉を聞くとは思ってもみませんでした。
長年のビジネスパートナーである孫さんがこのように感じられたなら、結局歴史に名を残すような人の心の中には、損得勘定ではなく子供のような無邪気さで物事に取り組む純粋さがあるのだということでしょう。

マイケルはよく「僕はピーターパンだ」と語っていました。

この言葉はマスコミに彼を揶揄する格好のキーワードとしてしばしば使われています。
いつまでも大人になる事を拒んでいるのだと、精神的に成熟できない代名詞のように。

なんもわかっちゃいないな~です。

マイケルほど精神的に老成している人はいないとわたしは思っていて。
まだ20歳にも満たない10代の頃、特にモータウンを辞めてそれまでの与えられるだけのグループではなく、自分たちの音楽を自分たちで作っていくという強い意志を持ち、それを実現させたのは他でもないマイケルでした。
その後の仕事の決定や交渉や創作面において、すでに決定権は父のジョーではなくマイケルの肩にかかっていたという事実をみても、「いつまでも子供のままでいたいよ」などという甘っちょろい考えでは到底やっていけるはずがないですし、さらには兄弟と共にいればある意味、責任も心配も分け合う事ができるにもかかわらず、ソロとなってひとりで何もかも背負う道を選ぶでしょうか。

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大人になるにつれて、嫌がおうにも味わってしまう挫折やあきらめ、あるいは結果を恐れる心・・もしうまくいかなかったらどうしょうという迷い、そのようなネガティブな気持ちをいつのまにか体験する事で、知らず知らず生まれる防御の姿勢。
これが悪いという事ではありませんが、それらを知らなかった頃の何に対しても感じていた好奇心と可能性、ワクワクする気持ち。

大人にとってはくだらない事でも、初めての経験は子供の心を高揚させますよね。
決して不謹慎なつもりではないのですが、小さな頃、台風で家の近所の川の堤防が決壊し、自宅が床上浸水したことがありました。
幸いすぐに水は引いたのですが、その時大人はおそらく途方にくれていたのでしょうが、子供だったわたしは、完全な非日常の景色にとても興奮し楽しかった事を覚えています。
長靴を履いてもひざ下まで水が来ていたので、川の中を歩くような、それがどれだけ楽しかったか。
今ならそれこそ「やめてー!」という気持ちになる事が、子供だった頃は楽しくて仕方がなかった。
近所の子供同士で意味なく外に出ては、大人から「泥水は汚いからいけません」などと言われるのを無視して、水鉄砲をしたりビニールプールを浮かせていかだごっこをしたり・・
そしてとにかく長靴から入り込む水の感触を楽しむように、がぼがぼいわせて歩く面白さ。
水の中を歩く、たったそれだけのことが楽しくて、しかもうまく走れないのが最高に面白い。しかも転んでも痛くない。水の中だから。それがまた嬉しくて。


誤解を恐れずに言えば、命を危険にさらされない程度の非日常は、子共にとっては最高なファンタジーなのだと思います。
その、物事を自分たちの楽しみに変えてしまう想像力とたくましさとポジティブさ。
そこには、楽しいか楽しくないか、好きか嫌いか、嬉しいか悲しいか、たったそれだけのとてもシンプルな、素朴で純粋な感情。

これらの感性と対極にあるものを、後に大人になる過程で身につけたとしても、いつまでもある種のスピリチュアルな子供の感性を優先させることが、彼にとってのピーターパンなのであって、ただ子供っぽく幼稚に大人としての振る舞いが嫌だとか責任が嫌だとか、ぐずぐずいつまでも自立できない幼児性を指しているのではないのであって。

ですが、ジョブズ氏の場合ならおそらくこの「ピーターパン」というキーワードは別の表現となるのではないかと思います。
例えば「ピーターパン-子供の感性を失うことなく世界を変えた男」みたいな。
これがマイケルなら何故か「ピーターパン-大人になる事を拒み続けたMan In The Mirror」みたいな風になるわけです。

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これはわたしの考えですが、アメリカのマスコミ・メディアはマイケルがジャクソン5でデビューした頃から彼を知っていて、彼を「歌と踊りがうまい黒人の子供」というイメージでをいつまでも見ていたことがその原因のひとつではないかと思ったりするのです。
わたしなどもテレビの世界で子役で出ていた子供が、ある日大人となって画面に登場しても、どこか「あの小さな○○ちゃんがねぇ」みたいに、一人前の大人というより、親戚の子供のように、普通にリスペクトする対象と言うよりは「頑張ってるねぇ」みたいなどこかまっとうに見ていない部分があったりします。
それと同じように彼が何をしても「ああ、あのちびっ子マイケルね」と、どこか自分たちより下に見ている、そういう風潮がマスコミ全体にあったとしたら。

彼は男兄弟の中では一番キャサママの影響を受け、敬虔なエホバの信者でしたから、礼儀正しく真面目で恥ずかしがり屋の優等生キャラがぴったりでした。
ところが皮肉な事にマイケルはジャクソン5の中でのキーパーソンでしたから、嫌がおうにも常に注目される。
他の兄弟がある程度やんちゃな事を言ったりしたりしても、残念ながらあまり目立たず、そのかわりそれがマイケルならば、大騒ぎになってしまう。
あの小さかった「みんなのマイケル」がそのイメージを逸脱する事は、ある意味許されない事だったのかもしれません。
ところがある日を境に、「ああ、あの歌のうまい黒人の坊やね」と思っていた子供が、白人が誇るアーティスト(エルビスやビートルズ)さえ成し遂げなかった大きな記録を作りギネスにまで名を残し巨万の富を手に入れたのです。

マイケルに対するマスコミの意地悪さは、単に黒人の分際で、的な人種差別というものに加え、自分たちが下に見ていた、わかりやすく言えばクラスの中で真面目でおとなしい、何を言っても怒る事のない、自分たちにはむかうような事をしないと思っていたクラスメートが、社会に出た時自分の会社の社長だった、ぐらいの違和感といえばいいでしょうか、そういうものをどうしても認めたくない妙な感情が働いているように思えて仕方ないのです。

その理由は、マイケルが常に指摘していた「無知から来る偏見」なのだと思います。
いつまでも子供じゃないマイケルを「そんなはずはない、あんな黒人のチビがそんな偉業を行えるわけがない」と、彼本人を見ようとしないで、彼の考えを知ろうとしないで決め付け、ピーターパン発言を、本来の彼の真意を汲み取ることなく「ヤツはいつまでも子供でいたいのだ。もう大人の癖に」と、マイケルを自分たちの知っている何も出来ない子供のままの位置に縛り付け、いつまでも自分たちのほうが上だというプライドを保ちつつ、とはいえ面白くない違和感を払拭するかのように攻め立てるという、まったくもってストレートではない報道にすり替えていたという風に思えてならないのです。

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マイケルを上から見下ろしたかった意識の根底には、先に述べたとおりの根深いレイシズム(人種差別主義)に加え、単なるチャイルドスターだろ、とどこか軽く扱っていた彼が、想像もしていなかった成功をしてしまうと、一体どこまでこいつは愛されてゆくのだろう、どこまで大きくなるのだろう、どこまで世界を変えていってしまうのだろうと、何かが大きく逆転してしまうのではないかといった恐れを生み、その恐れは嫉妬へ変化し、それらが複雑に交じり合った不遜な意識がどす黒く横たわっていたのではないのかと。
そして、自分たちの恐れを現実のものにするまいと最終的には最大の防御、つまり攻撃へと変化していったのだと。

あの酷い写真の流出を許し、その後の報道に利用するメディアは、何一つ変わっていないのだと痛感せざるを得ません。
日本と違って全て公開される裁判ですし、陪審員制度である事から証拠とみなされるものが提示されるのは仕方がないと思います。
問題はその後で・・
自分の家族なら写真をあのように人目にさらしたいと思うはずがないのですから、ほんの少しの想像力があれば・・と残念で仕方ないです。
メディアはいつまでもMJ=奇異というイメージを保ちたいのでしょう。なぜならそれを否定する事は今までの自分たちを否定する事になるからです。
彼がさんざん「信じないで」といい続けた捻じ曲げられた報道というものに、今なお惑わされてはいけないと強く感じたと同時に、胸が張り裂けそうな事実の中に、彼の意思と決意と真心と優しさを読み取り汲み取り、その小さなかけらにこそわたしたちのマイケルを見出し、それこそを信じる事が、ファンである自分ができることなのだと思っています。


ああ、少し話がジョブズ氏から離れすぎました・・><



続きます


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はじめまして

akimさん、はじめまして。らぶうと申します。
マイケルとジョブス氏は何か通じるものがあると思っていました。根っこにある信念や愛とか。1.2を読ませていただいてて続きを楽しみに待っておりましたところ、孫氏の言葉。そしてakimさんの洞察。もう泣きながら読ませていただきました。私が抱き続けていた漠然とした思いはまさにこういうことなのよ~と勝手に共感させていただきながら…(^^ゞ
過去記事も読ませていただきました。もう涙と鼻水でティッシュ手放せなかったです。ほんとakimさんには失礼かもしれませんが、あの日からの自分の気持ちそのままだったりして…。
思わずコメさせていただきました。長々とすみませんm(__)m
続き楽しみにしています♡

らぶうさん

はじめまして!コメントどうもありがとうございます^^

わぁ、なんか嬉しいです~\(^o^)/
今回の記事は書いているうちにだんだん長くなって、しかも今現在どういう終着点にたどり着けるのかもわからずに、意味なくだらだらと綴っている状態でしたので、そんな風に言ってもらえるととても勇気がいただけるというか、共感してくださる方がいるんだという強い励みをいただいたようで。

それに全然失礼じゃないですよ!
らぶうさんのお気持ちに寄り添うことができたなら、わたしもとても嬉しいです。
でもなんかどえらく泣かせてしまったようでごめんなさい。
できるだけ楽しい感じに・・と思うのですが、書いてる本人がめそめそしてるので結局いつも誰かを泣かしてしまってるようで><

これに懲りずにどうぞまたお越しくださいね
とてもお気持ちのこもった嬉しいコメントをありがとうございました!^^
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gonpee2008

Author:gonpee2008
名前はakim
家族は主人と猫のゴン&ピー
いたってノーマル・・だけどMJバカw

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