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Ghosts and Childhood and・・・

26日wowwowで「Ghosts」が放送されますね。
これはわたし的には悲願のSFだったので、とても楽しみ。
Youtubeでも日本語字幕をつけてUPしてくださっている方がいて観る事はできていましたが、あのスリラーを大きく凌ぐ(とわたしは思っていて)、複雑で、かつそれまでのダンスムーブとは一線を画した独特な振り付けの群舞、俳優としてのマイケルの怪しげで神秘的なマエストロ役の演技、(特に彼の表情には息を呑む凄みさえあります)、そして一人5役という徹底したこだわりなど、見所が沢山ある映画です。
どうしてもこれを大きな画面で観たかったので、本当に嬉しい。
現在DVD化がされていませんし、VHSでは恐ろしい高値で取引されていますしね。
これが出たとき、たいした金額ではなかったのにすぐに手に入れずに暢気に構えていた自分をどれだけ呪ったことかw

このSFのアイデアは、当時「HISTORY IN THE MIX」と呼ばれ、後に「Blood On The Dance Floor」という変則的なリミックスアルバムに収録された「Is This Scary」、これがもともとは映画アダムス・ファミリー2のサウンドトラックになるはずだったのですが、契約問題で折り合いがつかずこのお話は流れてしまいました。
でもそれがきっかけとなって、「では自分たちでこれをモチーフにしたSFを創ろう」ということになって生まれたものでした。


「マイケル・ジャクソン全記録」の著者でもあるエイドリアン・グラントの「Adrian Grant's MAKING HIStory
」(HIStory発売に合わせて作られたマイケルのインタビュー本)で、マイケルがこのことについて語っています。

It started with the Addam's Family, they wanted a theme song (Is It Scary) for their films and I didn't want to do it. So eventually we got out of it. So I ended up making a short film. I love films, I love movies, and that's why my next mission is to make films. That's what I want the next chapter in my life to be - movies and records. There's no other place to go. I'll do films, do records and direct. I'll also do complete directing myself, 'cause I love it very much.
それは 「アダムス・ファミリー」から始まったんだ。
彼ら(パナマウント社)は、「アダムス・ファミリー」 のフィルムに "Is It Scary" をテーマソングしたがっていたんだ。でも、僕はそうしたくは無かった。だから結局、僕たちはそれを外した。 そして最終的にはショート・フィルムを創ることにしたんだよ。
僕はフィルムが大好きだし、映画も好きだし、だから僕の次の仕事はフィルムを創ることだね。 僕は人生の次の章では、映画やレコード創りがしたい。他に行く所は無いよ。
フィルムを創る・レコードを創る・指導する。僕は自分自身で全てを監督したものも創るつもりだよ。そうする事が大好きだからね。

参考サイト:Legend Of MOONWALK

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この40分にわたる 堂々としたもはやミュージックビデオの枠を超えたSFでは「2 BAD」「GHOST」「IS IT SCARY」の3曲をフィーチャーし、エンターテイメントあふれる中に、実はとても重要なメッセージが込められています。
モダンホラーの巨匠、スティーヴン・キングとマイケルの共同脚本。
監督は、「ターミネーター2」「ジュラシック・パーク」などさまざまなSFX映画でアカデミー視覚効果賞を受賞している特殊メイクのこれまた巨匠であるスタン・ウィンストンでした。
このSFはカンヌ国際映画祭にも出品されました。

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カンヌでのマイケル

日本でも96年のHIStory tourで来日した際、ファンと一緒に観たいというマイケルのたっての願いが実現し、200人の幸運なファンとの上映会に彼は出席しています。
同じ劇場内で一緒に映画を見ることができた幸せなファンの方には最高の思い出の映画となったのでしょうね。


マイケルは2001年のチャットインタビューで、スティーブン・キングとこの原案を一緒に作る過程の話をしてくれています。

Well, I let the song pretty much speak to me and I get in a room and I pretty much start making notes... You know, I'll speak to a writer -- like Stephen King and myself, both of us wrote Ghosts, the short film Ghosts, and we just on the telephone started writing it and let it create itself and go where it wants to go.
僕はその曲に多くを語らせるんだ・・部屋で沢山原案を書きとめ・・ていうか、僕がライターに話すわけだけど。例えばスティーブン・キングと僕とで、ショート・フィルム「Ghosts」を共同で書いたんだけど、僕らはそれを電話で話し合いながら書き始めた。そしてそれ自体が(そのコンテンツが)おのずと好きな方向へ向かうにまかせたんだ。



彼は作曲も、自分は神から与えられすでに完成されているものを現実の曲という形に創りあげているだけだと語っていました。
彼が創造するものは、こねくりまわしたりひねくりまわすといった小細工など一切なしに、自分のインスピレーションと創造する対象から湧き出るイメージだけを中心に(もちろん実際に創りあげる過程ではさまざまなアイデアや技術を駆使しますが)大切にしていることがこの話からもよくわかりますね。

そうして創られた「Ghosts」

お話は、小さな町の町長率いる町の住人達が、ある風変わりだと噂されている薄気味悪い大きな館に住む主人に、町から出て行くように訴えに来るところから始まります。
主人であるマエストロ(音楽の巨匠の意)に対して町長は、「お前は変わり者だ。ここは普通の人が住む普通の町だ。変人はさっさとサーカスへ帰れ」と高圧的に詰め寄ります。
マエストロは「僕を脅す気?ならばゲームをしようじゃないか。一番最初に怖がった人が出て行くことにしよう」と、その館に住む大勢の幽霊と一緒に迫力ある群舞で応戦します。
町長以外の住人達や子供達は、そのダンスにどんどん楽しく引き込まれていくのですが・・


ここからはネタバレ満載、注意ですw


マエストロ(マイケル)を忌み嫌う大柄の太った白人町長もマイケル。
この町長は彼を93年の事件で有罪にするべく躍起になったトム・スネドン検事(もちろん2005年の裁判でも)を象徴しているとも言われていますが、そうであってもなくっても、自分の常識という基準から逸脱していると思うものや、自分とは違う価値観を持つものを受け入れることが出来ない傲慢さの象徴として存在しているのは確かでしょう。
そして自分が理解できないにもかかわらず住民(特に子供)を魅了してしまう何か特別な力を持つものを、嫉妬し恐れ忌み嫌い、そのあげく魔女狩りのごとく排除しようとする理不尽な考え。
そのような心こそが、、ghost of jealousy「嫉妬の亡霊=嫉妬から生み出される醜く愚かな感情」だと伝えているように思います。

嫉妬とは違いを受け入れられずに相手を怖れる気持ちが成長したもの。
そしてそれは次第に、その対象を排斥する一番の根拠となる感情にまで育ちます。

肌の色、国の違い、貧富、才能の有無、人を魅了する力の有無、何かを成し遂げたか否か。
あらゆる面であらゆる嫉妬が生まれていく。
マイケル自身数え切れないほどの嫉妬にさらされてきたはずですよね。
黒人アーティストとして世界中を魅了し、とてつもない成功を収めた彼に対する嫉妬。
白斑をきっかけに肌の色が変わったことで生まれた複雑な嫉妬。
美しい容貌に対する嫉妬。
世界が賞賛したその多岐にわたる才能に対する嫉妬。
知的な聡明さと無垢な純真さを併せ持つパーソナリティに対する嫉妬。

そして多くの人に支持されるということ自体、気に食わないという嫉妬。


これらに日々さらされてきた彼だからこそ、多くの争いの根源は、実は嫉妬の亡霊に取り付かれたことから起こる邪悪な醜い愚かな感情なのだというテーマを伝えるにふさわしい、極上のエンターテイメント作品に昇華させ完成させることができたのだと思うのです。

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この時期は93年の疑惑を和解という形で解決したマイケルへの疑いがまだまだ強く、彼に対する逆風もますます吹き荒れている頃。
そんな中だからこそ、彼もあえて自分の心情を赤裸々に吐露した曲や前述のスネドン検事を痛烈に皮肉った曲をHIStoryに収録しています。
ただ意見はいろいろあるでしょうが、わたしにはそれらがただ彼が自分のおかれている状況を嘆いてばかりの作品群だとは思いませんし、このSFでもあえて世の中のくだらない噂をシニカルに風刺しているように思えて仕方ない表現があるのです。

それは終盤、住民達の心が次第にほどけていくのに対し、白人町長だけはかたくなに「ただ自分たちとは違う、変わっている」という理由だけに執着し、執拗にマエストロを攻撃し続けます。
町長の心を映す鏡に恐ろしいグール(悪鬼)が映り、マエストロは「Now who's wierd? Who's scary now? Who's the freak now? さぁ、気味の悪いのはいったい誰だ?怖いのは?本当の化け物はいったいどっちだ?」と問いかけます。
嫉妬によって理解できないものを理不尽に排除しようとするその心が、本当は恐ろしくて醜いGhostなのだと。
しかし町長はわかろうとせず、尚も執拗にマエストロを追い出そうとします。
町長の背後の住民達は、マエストロを受け入れる気持ちが芽生え、もはや彼を排斥しようとする気持ちはなくなっているのですが、大きな権力を持つ町長にはむかう勇気が出せずにいます。
悲しそうに失望したマエストロは「わかったよ。出て行こう」と言って、自らの顔面を床に打ち付けます。
何度も何度も床に顔を打ちつけ、みるみる崩れていく美しかったマエストロの顔。
それはまさに「顔面崩壊」でした。

マイケルに執拗に付きまとうゴシップのひとつ。


君たちは僕がこうなれば満足なんだろ?


そんな彼の皮肉が込められた自虐的な演出に思えるのです。
逆を言えば、ゴシップさえも作品のひとつの演出に、しかもとてもショッキングであればあるほど、マエストロの悲しみを効果的に表現できるという作品作りの上でのマイケルの冷静な計算を感じました。

この人は徹底して人を楽しませようとしているのだと。

それは不気味な館にひとりで住み(実際は多くの幽霊と一緒w)、不思議な現象を見せて一見怖がらせているようで、実は大人も子供も楽しませているマエストロを通して、ただただ最高の音楽とパフォーマンスと映像で世界中の人を楽しませ喜ばせたかった彼の信念を感じる演出にも見えるのでした。


マエストロが「最初に怖がった人が出て行くゲームをしよう」と提案し、「Is this scary? これ怖い?」と最初に見せる顔です。

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子供の頃からの得意技のようですw


子供や住民にはウケますが、これに対する町長の反応はというと、「馬鹿馬鹿しい。子供だましだ!ふざけるのもいい加減にしろ!」というもの。
この子供のようなおふざけを好むことも、マイケルのパーソナリティのひとつでした。
子供が好むものを彼も好み、それらをとても楽しみ、それらをいつまでも愛した人でした。
いわゆる「常識的な大人」は、そのような彼を到底理解できない人が多かったでしょう。
それも彼はよくわかっていたのですね。

このシーンを観るといつも「Childhood」を思い出すのです。

やはりHIStoryに収録された曲。
子供時代を子供らしく過ごせなかった彼があこがれた子供らしい夢。
「Hello, I'm Michael」と自己紹介した途端態度を変えたりサインを求めたりなど決してしない友だちと、満天の星空を飛んだり、王様や海賊のおとぎ話の主人公になったり、キャッチボールをしたり。

No one understands me
They view it as such strange eccentricities...
'Cause I keep kidding around
Like a child, but pardon me...
誰も僕をわかってくれない。
彼らはそれを変な奇抜なこととしか見ないんだ。
だって、僕は子どものようにふざけるから。
でも、どうか許してほしい。

Before you judge me, try hard to love me,
Look within your heart then ask,
Have you seen my Childhood?
僕のことを決めつける前に、愛そうとしてみて。
君の心の中を覗いて聞いてみてよ、
僕の子ども時代を知っているのか?って。

People say I'm not okay
'Cause I love such elementary things...
It's been my fate to compensate,
for the Childhood
I've never known...
人は僕が変だと言う。
僕が子どもじみた物が好きだからって。
でもそれは、僕の運命の埋め合わせなんだ。
子ども時代を味わえなかった・・・


訳:大西恒樹氏「マイケルの遺した言葉/マイケル・ジャクソン氏の歌詞の日本語訳詞集」より引用


この歌詞で彼自身が、自分の子供じみた好みを人は変わっていると思っていることを書いています。
ただ、自分の中ではきちんとした理由があること。
それをわかろうとする前に判断しないで。
上っ面だけで決め付けて、変わっているという烙印を押したあげくに、排除するような真似はしないでほしい。

わたしの中ではいつもGhostsとChildhoodが、こんな風に対で出てくるのです。
もちろんこれはわたしの勝手な感想なので、そういう意見もあるのだなぐらいで流してくださいね。

冷静に最高のエンターテイメント作品を追求していくマイケルと、いつまでも自分の心の中に、どこかに落としてしまった子供らしい時代を探すマイケル。
大人の知性の中に息づく子供のような無垢な感性。


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TwitterでシェアさせていただいたUSのBillboadのカバーになった絵です。
ノーマン・ロックウェル風で一目で気に入りました。

リーディンググラスをかけたスーツ姿の彼が、スリラーの頃の自分を描こうとしています。


落ち着きのあるとても上品な大人の男性。
でも、リーディンググラスの奥の茶目っ気いっぱいの目。
こんな素敵な紳士でありながら、彼がいつまでも持ち続けた無邪気さが隠し切れずにあふれているようです。
相容れないようで見事に溶け合った二つの魅力をもつ人・・




妖しくて気品に満ちているのに、無邪気な笑顔が素敵なマエストロに、大きな画面で会えるのはもうすぐです。

でもわたしたちの大切な大切な彼を失った日ももうすぐです。



この気持ちをどうすればいいのでしょう。

日々は容赦なく過ぎていきます。

無罪ではなく、無実なのです。

2005年6月13日。

この日はMJが自分にかけられた14もの罪状の全てに無罪評決を勝ち取った日です。

彼の支援のために世界中から集まった多くのファンのうちの一人が、無罪の評決がひとつ、またひとつと読み上げられるごとに、潔白と平和の象徴である白鳩を飛ばしていきました。
青く晴れ渡るサンタバーバラの空に、美しく羽ばたきながら飛ぶ14羽の白いハト・・

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そもそも存在するはずもなかった完全にでっちあげの「金銭目的の嘘」と、それらをさも存在しているかのように見せかける事にやっきになった「悪意に満ちた執念」とが手を組み絡まり計算された上で捏造された「訴訟」でした。

それは2年もの間、MJの尊厳と音楽キャリアと子供達との平穏な生活と健全な精神と健康をおびやかし、いわれの無い
恥辱を受け続けるという地獄を彼にもたらしました。


この事は、この事だけは、わたしたちははっきりと言い切らなければいけない。

彼は無罪評決を受けましたが、そもそも罪などなかったということを。
彼は正真正銘の無実だったのだということを。



長く苦しめられた深くて邪悪な闇の中を、それでも彼は誇りを失わないよう、常に毅然と顔を上げ目をそらさずに歩き続け・・
ようやく明るくまぶしい光が輝く場所へと、自分の足でたどり着いた日
それが、5年前の今日なのです。(US時間)

忘れないでいましょう。

彼の潔白が欲にまみれたGHOSTに打ち勝った日の事を。


決して

決して


忘れないでいましょう。

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His voice make me happy.

マイケルの声が好きです。
ああ、もちろんファンなら(おそらくw)全員好きですよねw

耳ざわりのよい優しくて深みのある声。

彼の声の事は以前にも書きましたけれど、今回はまた違った角度から。
わたしたちがよく知る、ささやくような甘くて優しくて、聞いているうちに心が落ち着くあの声ですが、もうこれは有名なお話ですね、SMAP×SMAPでライオネル・リッチーが「声帯を守る為に普段から喉に負担がかからないソフトな話し方をする」と証言していました。
本来は低い声なのだと。

彼のプライベート色が強い動画などから聞こえる声は、確かにスピーチや演技で知っている声より低めだったりします。
わかりやすいのは、もうすぐWOWWOWで放映される、わたしもとてもとても楽しみにしている「GOHSTS」で、彼が特殊メイクを駆使して演じたふとっちょ白人の市長の声でしょうか。
本当のマイケルと、マイケル演じる市長との掛け合いを聞くと、わたしたちが本当の声だと思っているあのいつものSweetな声が実は意識して作っている声で、市長として出している低くて落ち着いた(ただしセリフが意地悪な言葉ばかりなので憎々しげにしゃべっていますけれど)声が本当の声なのかしらと、一瞬考えてしまったりします。
それだけ、彼はいろいろな声色が出せるようなのですね。

最近放送された、アーティストで大のMJファンでもあるAIが、MJゆかりの場所や関係者を訪ねる番組の中で、TIIの音楽監督、このブログでも何度も出てくるマイケル・ベアデンもこんなことを語ってくれていました。
「普段の彼は僕らにもあのソフトな声で話していたよ。でも一度、僕が作業をしていたら、聞き覚えのないとても低くて田舎っぽい声が聞こえたんだ。顔を上げてもそれらしい人はいないし、一体誰だ?って声を出したら、マイケルが愉快そうに笑っていたんだよ」
(うろ覚えw でも確かこんな感じなこと)


過去記事でも触れましたが、彼の声を分析すると7種類の音を同時に出せるという特殊な声帯の持ち主であったことが証明されている訳ですから、本来の地声も喉を守る為の声も、あえて作り出す声も、どれもマイケルの声帯から出る声は人を不快にさせる要素のない声だと思うのですね。

もちろん、有名すぎるその話声はよく物真似をされ揶揄されたわけですが・・
不思議なことにあの声は、マイケルから出るからしっくりくるんですよね。
大柄でいかつい感じの外見の男性が、マイケルっぽい声を出したら違和感がはんぱないw
でも何だか憎めない感じで、笑顔になってしまうかもしれません。


マイケルは1991年9月、アメリカの超長寿アニメーション番組「The Simpsons」に声優として出演しています。
彼は日本で言えばサザエさんのような、でもほのぼのだけでは終わらないシニカルで風刺の効いたこのコメディのファンで、番組のサウンドトラックの曲を提供するだけではあきたらず、自ら熱望して、第3シーズンの第1回目「Stark Raving Dad 邦題:マイケルがやって来た!」のゲスト声優になりました。

マイケルはシーズン2のサウンドトラック用の曲の権利も主張せず、台本を読み終わったときにこの回の重要なパーツとなるオリジナル挿入曲(「Happy birthday Lisa」)の作曲を申し出ました。
恐縮するスタッフが一旦は断るのですが、彼はぜひやらせてと譲らなかったそうです。
劇中では「Billie jean」「BEN」、そしてこの曲が歌われますが、諸事情(いわゆる大人の事情ですねw)から、歌部分は、歌手でありジャクソンズの頃からのインパーソネーターでもあったKipp Lennonが務めました。

こちらからご覧いただけますが、権利の関係で削除される可能性が高いことをあらかじめご了承ください。


ストーリーは、シンプソンズ家のパパであるホーマーが、息子のバートの赤い帽子と一緒に洗ったために、色落ちしてピンクに染まったシャツをしぶしぶ着て出勤するところからはじまります。
全員が白いシャツを着た社員の中、一人だけピンクのシャツを着ているホーマーを、社長が皆と違う行動をとる要注意人物と決め付け、ホーマーは精神病を疑われ、プロファイルテストに回答するように言われます。
めんどくさいことは嫌いなホーマーは大事なテストをバートに任せてしまい、バートの適当に答えた結果により強制的に精神施設へ入院させられます。
そこでホーマーと同室になったのが、マイケル演じる「マイケル・ジャクソンと名乗る男」です。

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ホーマー:あんた、誰?
男:    Hi, I'm Michael Jackson, from The Jacksons. やぁ、僕はジャクソンさんちのマイケル・ジャクソン
ホーマー:僕はシンプソンさんちのホーマー・シンプソン・・

男:    I can't believe you never heard of me. I'm a very popular entertainer.
      僕を知らないなんて信じられないよ。僕はとても有名なエンターティナーなのに。

ホーマー:もちろん知ってるさ。知らないわけないじゃないか、とても有名なんだもん。で、名前なんてったっけ?
男:    Michael Jackson
ホーマー:ぴんと来ないな
男:    Well, have you heard of MTV? じゃあ MTVは聞いたことある?
ホーマー:ない
男:    Motown. モータウン
ホーマー:いや
男:    Beat It.
ホーマー:君がうせろ!
男:    Thriller.
ホーマー:最後なんだって?
男:    Thriller.
ホーマー:なにそれ
男:    Well, how about this...よし、じゃこれなら・・

(Bellie Jeanを歌いながらムーンウォークをしてみせる男)

ホーマー:わーお!その足の動きどうしてんだい?
男:    The moonwalk? ムーンウォーク?
ホーマー:ちがーう!その足の動き!
男:    Here, look. Just raise your heel a bit, put a little pressure on the ball of your foot.
      ああ、見て。足のかかとを少し上げて、親指を少し押すんだ・・

ホーマー:(ホーマー、トライするもなぜか前へ前進して) D'oh! ドゥ!!
男:    You seem like a nice guy. Why'd they put you in here?
      君はいい人みたいだね。どうしてここに入れられたの?

ホーマー:ピンクのシャツ着てたから・・
男:    I understand. People thought I was crazy for the way I dressed...
      わかるよ。僕の格好もおかしいって人に言われるよ・・

ホーマー:どんな格好?
男:    One white glove, covered with rhinestones.
      白い手袋、ラインストーンがついてる


ホーマーはそりゃおかしいよという代わりにべろべろべろと舌を出しておちゃらけます。
この二人のやりとりがとてもおかしいのですねw

こうして仲良くなったふたり。
ホーマーが自宅へ助けを求める電話をかけるのを躊躇する様を見て、代わりに僕が話そうと男はいいます。
自宅にいたバート(パパが帰ってこなくてもなんの心配もしない能天気な坊や加減が笑います)が電話をとります。

男:    Hello? Who's this? ハロー、君は誰?
バート :ぼくはバート・シンプソンだ、あんたこそ誰だよ?
男:    I'm Michael Jackson 僕はマイケル・ジャクソン
バート :マイケル・ジャクソン?はん、ウソだね!
男:    It's true. I'm with your father in a mental institution.
      本当だよ。君のお父さんと一緒に精神施設にいるんだ

バート :ふーん、じゃエルビスも一緒なの?
男:    Could be. It's a big hospital. 多分ね。大きな病院だから。

ここでエルビスがらみのジョークが出てきますが、はじめ台本ではこの部分はプリンス(殿下のほうw)ネタだったそうですが、マイケルがエルビスに変更を提案してきたそうですw

バートは男にグラミー賞授賞式に誰をエスコートしたか、本物のマイケルなら答えられると質問するのですが、男がなんなく「ブルック・シールズ、ダイアナ・ロス、エマニュエル坊やとバブルス」と答えたので、本物だと信じてホーマーの伝言を聞くのです。
バートから夫の伝言を聞いた妻のマージがあわてて病院へ行き、事情を説明したことで、やっとこさようやく誤解が解けて退院することになったホーマー。
仲良くなった男にぜひ正常に戻ったらうちへ来てくれと誘うと、彼は自分はこの施設に好きでいるのだから今日でも行けるよと答えます。
驚くホーマーが、施設に自発的にいる理由を尋ねると
「Well, back in 1979, I got real depressed when my `Off the Wall' album just got one lousy Grammy nomination. そう、それは1979年、アルバム「オフザウォール」でたった一部門しかグラミー賞にノミネートされなかったことに絶望してね・・」と役を演じながらマイケルは皮肉たっぷりな自虐ネタをジョークにします。
こういうジョークを彼は好きだったのでしょうし、何もかもに神経質なんかではなかった彼自身のユーモアセンスを感じますね。

男と一緒にうちへ戻ったホーマーを、町の市長をはじめ大勢の見物人が取り囲みます。
マイケル演じる男が秘密にしてねと頼んだにもかかわらず、おしゃべりなバートがマイケルがうちにやってくるんだと吹聴した結果の有様。

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車から出てきた140キロはある大柄な白人男性を見た途端、全員失望して帰っていきます。
そんな大騒ぎの中、その日が誕生日であったバートの妹、リサは誰もが自分の誕生日を忘れていることを嘆いていました。
そんなリサの様子を見た男は、バートに「自分も幼くてお金がなかった頃、妹に愛情を込めて歌を作ったよ。だから、一緒にリサへの誕生日を祝う歌を作ろう」と持ちかけます。
最初は嫌がるバートでしたが、優しいマイケルの声で話す男に励まされて歌を作ることに。

そして翌朝。
リサを起こして、バートと男は一緒に「Happy birthday Lisa」を心を込めて歌います。
大喜びでバートと男にお礼を言うリサ。
仲たがいしかけた兄妹が仲直りするのを見届けると、男はマイケルのような声から一転、それこそ本来の彼のイメージに合うようなだみ声で「これで俺の仕事は終わったな」といいます。
驚く家族に彼はこういいます。

「俺はいつも人生を怒っていた。でもある日この声を出した途端、誰もが笑顔になった。俺はいいことをしているんだって思った。だからそれをずっと続けているのさ」

こうしてマイケルの声を出せる大柄な白人、レオン・コウポースキーは、またどこかで人を笑顔にするためにシンプソンズ家をあとにするのでした。
ちなみにだみ声のレオン・コウポースキーは、残念ながらマイケルではなくHank Azariaという声優さんでした。

常に社会の問題を取り上げ風刺をきかせた内容の、子供向けというより大人に愛されるこのアニメ。
このマイケルの回は残念ながら日本では放送されませんでしたが、DVDボックスには収録されています。
参考サイト:The Simpsons FanClub
トランスクリプトソースはこちら



マイケルは歌を歌わないことと、名前をクレジットしないことを条件に出しました。
なのでクレジットには Special Guest Voice として John Jay Smith という謎の人物の名前が。

john jay smith


でもこれも彼特有のユーモアですね。
マイケルそっくりな声が簡単に本人の声だとみんなにわからせるのは面白くない、なんて考えたのではないかと楽しくなってしまいませんか?

この時にマイケルがぜひにと申し出て作られた Happy birthday Lisa.
あのリサに捧げられたという説も強いですが、ちょっとそれでは面白くないw
あくまでストーリーの中の、妹を大切に思う兄が心込めて作った歌、ということにしておきましょうw
実はとてもとても好きな曲なのです。

彼の透明感あふれる優しい声が歌う、愛情に満ちた言葉達。
歌というものはリズムもメロディも重要ですけれど、何よりその声が美しければ、こんなにもありふれた、ただ妹のバースデイを祝う歌なのに、心が和んで癒されて踊りだしてしまいそうな喜びを感じるのですね。
楽しいお祝いの歌なのに、聴くたびに涙があふれてしまうけれど・・。
でもとてもとても好きな歌です。
彼が楽しんで、この歌を自分の妹や友人や、とにかく大好きな人の名前に置き換えて歌う子供達の姿をイメージしながら作ったのでしょうか。

もしもそうだったならば
まさにビンゴ!
そのとおりになったよ、マイケルw

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gonpee2008

Author:gonpee2008
名前はakim
家族は主人と猫のゴン&ピー
いたってノーマル・・だけどMJバカw

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