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M.J. その2

※記事の最後訂正の追記しました。

そろそろあの裁判の結審が近づいてきたようですが、マイペースの内容で進ませてくださいませ^^
前回の続きです。

I will march ahead anew

M.J.として文字通り前へ前へと進む彼の、自分に課すハードルはより高く、成し遂げたいことはより多彩になり、辿り着きたいゴールはさらにはるか前方へと変化していきます。

前述の書籍たちは彼がM.J.になった頃には、もうすでに読破していたのではないかと思われますが、新しいところでは1998年に出版された The 48 Laws of Power 「権力に翻弄されないための48の法則」(ロバート・グリーン著) があります。

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マイケルがこの本をいつ手に入れたのか定かではありませんが、おそらく読書家で本屋巡りをかかさなかった彼の事ですから、出版されてすぐに手に入れていたのではないかと思っているのですが。
アンダーラインや書き込みが多数あって、これは必ずやいい本に巡り合った彼が必ずしていたという儀式をしたに違いないと思いました。
この本を読み終わった彼が手を叩いて喜んで、本の四隅にキスをしている姿が目に浮かぶようです。^^

で、彼がどこに興味をひかれたのかとても気になったので、翻訳本を手に入れてみました。
これは歴史上の人物を多く引合いにだし、彼らがいかに才能や権力や権威といった「パワー」をうまく使ったか、あるいは使えなかったかを法則にしたもので、かけひきやイメージ戦略の重要さなども多く例に出されています。
(でも相当シニカルですw)

写真の章:Law37 Create Compelling Spectacles 法則37 壮大なものを見せて人の目を釘づけにしろ

この法則で例に出されているのは、1536年にフランス国王アンリ2世の愛人となったディアーヌ・ド・ポワティエ。

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アンリ2世とディアーヌ

彼女はアンリ2世よりも20歳年上でしたが、いつまでも年下の国王に大切にされるために、自らも若さを保つ努力を怠りませんでしたが、際立って素晴らしいのはそのイメージ戦略にあった、と書かれています。
312ページに写っているのは、自分をそばにおくことが国王の権威を高めるのだということを国王にわからせるため、のみならず、宮廷や国民に対しても自分の存在を肯定させるよう考えに考え尽くされた戦術が紹介されているページです。

マイケルがアンダーラインを引いている箇所は、ディアーヌがアンリの愛した狩猟をつかさどる月の女神である女神ディアーナ(ダイアナ)と自分を同一視させるために、自分のシンボルマークに女神を想起させるもの(三日月・雄鹿・猟犬)を取り入れ、自分の住まいのアネ城にローマ神殿を髣髴させる殿堂を造らせ、イメージを常に保つために彼女のシンボルをありとあらゆる場所に配したと記されている部分です。

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アネ城の扉には女神ディアーナを象徴する三日月、城門には雄鹿と狩猟犬

単なる年増の愛人ではなく、女神の化身かと思わせるための徹底したイメージ戦略が功を奏し、アンリ国王は彼女を生涯大切に扱い、貴族や国民も女神ディアーナの象徴とされた貞節と純潔のイメージにより、ディアーヌを愛人ではなく国王の大切な女神だと認識させるのに成功したとあります。

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城の中に飾られた女神ディアーナ画。でも顔はディアーヌそっくり


このページに書き込まれたマイケルの言葉

Make yourself respected, a God Demands Worship
敬意を払われるように、神には崇拝が必要



313ページでは面白い箇所があります。
「ディアーヌの抜け目のなさは女神ディアーナを利用したことだ」と書かれた文章の 「astute:抜け目のない」という単語にアンダーラインを引き、「Shrewdly:鋭く見抜く」と「Discerning:洞察力がある」という単語を書き出しています。

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彼がずっとKing Of PopとしてのM.J.に付随させてきたある種のイメージ戦略と重なったのでしょうか。
ディアーヌ自らのイメージを高めるための戦略に対して、「抜け目ない」と言い表すのはどこか「小狡さ」を感じさせるからでしょうか、それよりも肯定的な言葉を書き出しているところが、マイケルが彼女の徹底したイメージ利用について賛同していることの正当性を表現しているように、わたしには思えてしまって、はい深読みしすぎですか~?きゃはーw


ちなみに同じ文章の「goddess:女神」という単語にもアンダーラインを引いて、「WOW like Lady Diana わお!レディダイアナみたいだ」と書いています。
goddessは女神という意味もありますが、「憧れの的となる婦人」という意味もあるようで、もうお亡くなりになった後でしたがマイケルのダイアナ元妃に対するlove度がわかるというのはご愛嬌^^

話しは戻って、そのあとに続く記述に「LOOK」と書き、興奮して書き込んだんじゃないかと思わせる言葉があります。

そこは、ディアーヌの戦略を解説している箇所で、誰でもがこうしたイメージ戦略をとることができ、特に視覚的に訴えるシンボルマークを確立させればいいとあり、マイケルは以下にアンダーラインを引いています。

そうしておいてからかけひきをするのだ。自分にぴったりのイメージやシンボルを過去から見つけ出して肩に乗せよう。そうすればあなたは実際よりも大きく見えるはずだ

さらにこの箇所にこう書きこんでいます。

great 素晴らしい like Me and Military or Arm Band 軍服もしくは腕章・・まるで僕だ

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はい、ガッツポーズしたーw
自分の行ってきたことは正しかったと確信しましたよねきっと。
まさにこれらのイメージは、M.J.です。
M.J.と言われてアフロだったりカラフルでファンキーなパンタロンをイメージする人は、まぁいません。
指のテープやあのグローブ、フェドラや黒のきらきらジャケット・・彼をイメージさせるものは数々あれど、中でもミリタリーテイストのジャケットとアームバンドは、M.JというKingにふさわしいカリスマ性を存分に発揮したアイテムですね。
HIStoryのTeaserでそれは確立されたように思います。
まさにこの章のタイトル「Create Compelling Spectacles 壮大なものを見せて人の目を釘づけにしろ」そのものでした。

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今となってはグローブはBillie Jeanを象徴するものですが、当時世間からはM.J.を象徴するものとして、The gloved one(手袋の人)と呼ばれていたのですね。
The gloved oneで意味を調べると、ちゃんと「Michael Jacksonの呼び名」で出てきます。
それじゃ全然ぷ~じゃん、(フランク)シナトラは会長、エルビス(プレスリー)はキング、(ブルース)スプリングスティーンはボスってちゃんと敬意ある呼び名があるのに、なにそれ?僕は手袋の人?全然だめだよだめだめだめ!んも今日から僕はキングオブポップ・ロックアンドソウルってことにするかんね!ちょっとMTVとかにそう言っといてよね!・・と、言ったとか言わないとか(笑)
リズが最初に彼をそう呼んだというのが定説ですが、わたしは案外彼から仕掛けたというのは大ありだと思っているのですが。
もちろん自分で吹聴したんじゃ意味がありませんもの、そのあたりはさすが賢いジャクソン先生ですよ^^

自薦にせよ他薦にせよ、彼ほどkingと呼ばれてふさわしい人はいないんじゃないかな。

それはね。

品です。きっぱり。

皇族でもないのに皇族が醸し出すあのなんともいえない優美さ、気品、気高さ、麗しさ、高潔さなんかを、そのまなざしから指先から足さばきから立ち姿から、とにかく彼という存在や立ち居振る舞いからぷんぷんスメるわけです。
ただ思いついて言ってみてるだけなんだから怒っちゃやーよ的お断りをしておきますが、わたしが黒人でイメージする国王は、どちらかというと部族の王って感じで、ま、わかりやすくいうとこんな感じ↓

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左のかわいこちゃんじゃなくて、エディの王様のイメージなんですよね。どうしても半裸で裸足的な(笑)
この際断腸の思いでかわいこちゃんに言及せずに進めますよ。

エディの王様からは、王にふさわしい威圧的な威厳や貫禄はびんびん伝わりますが、優雅さや高潔みたいなものはそれほど感じられないの。エディごめん。
でもこれをご覧くださいませよ。

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もう見すぎて見すぎていい加減見飽きたっていうふとどき者は皆無っていうぐらい、いつまでも見飽きない有名なこのお姿。
コスチュームイメージはチューダー王朝時代でしょうかね?調べてないけどw
とにかく本来この時代、この様式で国を治めていた黒人の王はおそらくいないと思っているのですが。(いたら速攻で謝ります、ていうか先に謝っておきます。いたらごめんなさい)

日本人以外の国の人々がメイドカフェのコスプレをしているのを見て、好き好きだからおおいに結構!と思いつつ微妙に違和感を感じるわたしですが、これもまさに王様コスプレであるにもかかわらず、何の違和感も感じないというこの不思議。
見よ、この優雅さと気品満ち溢れる美しいKingぶりを!
違和感どころか、そこから漂うこのいかんともしがたい高貴さは練習して身につくもんなんですかジャクソン先生!

・・・



話しを戻します。


本では「パワーを手にする秘訣」という項目で、言葉を駆使することの危険性を説いていて、誰かを説得するのに言葉を使えば、相手も言葉で反論してきたり、こちらの意図が誤って伝わることもある。それよりも視覚的な表現は感情に直接訴えかけることができる、とし、音楽や視覚表現(ビジュアルで示す)は相手に考える隙を与えないといった内容が書かれています。
そこを大きく囲い、以下の書き込みをしています。

No more talking silence is more powerful
もう話す必要はない。沈黙ははるかに強い


さらにアンダーラインを引いた箇所。
言葉はあなたを守勢に立たせる。自分自身を説明しなければならないとしたら、自分のパワーがすでに問題になっているのだ
イメージは人々をまとめる。それは典型的なパワーの道具なのだ

この本が出版されたのは1998年。
この時までにすでに彼は数々の困難と過酷な経験を余儀なくされていました。
自らのアイデンティティを疑われるほどの肌の変化や、キャリアの崩壊につながりかねない身に覚えのない脅迫。
それらに対してM.J.がとった行動の中に「説明」は極端に少なかった。
肌に関してはオプラのインタビューでただ一度きり。
件のでっち上げに関しては、無実を主張はしてもその後彼が公に説明することはありませんでした。

この本を読む以前にすでに彼は、「言葉」で弁護することが危険だとわかっていたとしか思えません。
最高のエンターテイナーとして見られる前に、同情や憐みといった残酷な好奇心の色眼鏡を通して見られることは何にもまして彼にとっては耐えがたいことだったのではないでしょうか。
それなら、過酷な状況を逆手に取り白い肌をさらに強調させ、一種独特なオーラを演出し、怒りも不平も不満も言いたいことはすべて自身の「音楽」に雄弁に語らせ、ある種のエンターテイメントに昇華させることが、こんな苦しさの中にあってなお、自らを「肯定」する方法だったのかもしれません。

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マイケルという普通の一人の黒人男性で生きていくなら、「言葉」を駆使してわかってもらおうと努力したかもしれませんが、最高のエンターテイメントを通して、世界中に喜びとひとときのエスケープシズムを届けるという使命を胸に抱きながら誰よりも高みを目指すKing Of Pop M.J.であったがゆえに。

その強さを支えていたのは、大いなる天上の存在への揺るぎない信頼と、その神の資質を地上において感じさせてくれる子供という存在からのインスピレーション、と同時に彼らを守るという使命、小さきもの弱きものの声なき声の代弁者としての責任、さらにはトレーニングで培った潜在意識の力による肯定的な発想、そしていつでもパイオニアで、革新者で、オリジナルに富んだ音楽や映像を生み出すアーティストとしての誇り・・だったのでしょうか。


■振付師ラヴェル・スミス (2011年ピアーズ・モーガンショーインタビュー

“僕が思うに彼はこんなふうに思われたかったんじゃないかな
いつだってファンや聴衆へ、彼が送り出したものは
間違いなく誰にもまねできないオリジナルだった
革新的だったとね
彼は人に真似られることは気にしていなかったけれど
いつも自分は最初の人(パイオニア)でいたかったんだ”

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他のページにも走り書きが多数あったようですが、そのどれもがイメージ戦略に伴う考えを表しているように思えます。

You create your own circumstances even in the manner in which you are treated and looked upon
人からの扱われ方や見なされ方が、自分自身の状況を作る

Deer are special because they hide if they walked the streets like dogs no one would care
鹿は特別優れている。もしも彼らが通りを犬のように歩いたとしたら誰も気にかけなくなるだろう。だから彼らは身を隠しているのだ。

No one would care the moon comes every night so people don’t care to look to the heavens Haleys Comet,the fact it comes once in a lifetime makes it important
人ははるか天空のハレー彗星を見ることなどどうでもいいと思っている。しかしそれが一生に一度だけやってくるという事実がハレー彗星を価値あるものにしている。毎晩やってくる月には誰も注意を払わない。



特に「鹿」と「ハレー彗星」は露出過多が生み出す価値の低下が、どれほど人々の関心を薄くするかを表現しています。



だって彼はM.J.だから

I should be a new, incredible actor/singer/dancer that will shock the world.

世間に驚くべき衝撃を与える素晴らしいエンターテイナー


それがM.J.だから




・・・

これほどイメージを大切にしていたM.J.の戦略でわたしがずっとずっとずっと疑問に思っていたこともついでですから書いておきましょう^^

INVINCIBLEの制作に入った頃から、あのすてきなロングカーリーを切り、ミリタリーは影をひそめたように思います。
次のイメージ作戦を思いついたのですねM.J.!・・て思ったら、アンドレ・キムさんのなんともかともな(すみませんw)お洋服でどこにでもお出かけしてくわけですよ。
あれほどミリタリーとは違う意味で自己主張の激しいお召し物をまとって、もう誰も追いつけないし追いすがってもムダよねムダムダってくらい突き抜けちゃっていいのは、やはりKingしかいませんが、あれはなんだったのでしょうね?(笑)

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あ、大丈夫、絶好調だから!

あれも間違いなくM.J.のイメージ戦略の一環なはず・・と思ってはいるんですが、どうでしょうね・・ただいつものように、すごく気に入っちゃったからネバーランドに来て専属で作ってって言ってるのになんで断るの?でも欲しいし着たいんだよー!んも、それだったらとにかく30着作って送って!順番に着ていくから!・・てただそれだけ?まぢですか?
いやいやいや・・やはりなんらかのイメージ作りはなず・・でもそれなら一体どんな?下々の者は何をあのお姿から感じればよかったのでしょうか?お願い答えてKing!!

しかしアンドレ・キムさんがすごいデザイナーだとわかってはいるのですけれど、この人を初めて見た時、大屋政子のおとうちゃん?と思ったのはわたしだけですか?

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さあ、どちらがどちらでしょう?


とはいえ、アンドレ・キムのお洋服は、まだある種の雰囲気を醸し出していましたが、エド・ハーディまできちゃうと、あれはもうMJとかイメージ戦略とか関係ないよね(笑)
マイケル君の好きなパジャマと同質のものだよね、単に、いーなこれパジャマに、カラフルでてろてろー♪楽そうだし気に入ったー的な。とわたしは思っているのですがw

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「これなんかいかがです?ジャクソンさん」「そだねー赤いしねー」

※追記9/28
すみません。書いてから思い出しました。
ええ、ええ、エド・ハーディに関しては、ビジネスとして2008年にMJファッションラインのお話があったんでした、そうでした。
でも実現しなくてよかったかもね。
個人の好みはどうであれ、あのチープな雰囲気のラインにM.J.の冠がつくなんて、だめだったと思うわ。
プライベートだけで楽しんでくださいまし。たのんますジャクソン先生。



・・・

てことで、まーだ続きます。

M.J. その1

今回の記事は、だいぶ前から書きたかったのですが、どうにもうまく書ききれなくて、書いちゃ消し書いちゃ消し、を繰り返して結局消してふて寝していたテーマです。
でもやっぱり書きたいってことで、鼻息荒くスタートしたものの、やっぱりいつになってもゴールが見えないことにいいかげんうんざりしてきちゃったんで、んもう見切り発車でupしちゃいますので、最終的に尻切れトンボ的に終わっちゃっても笑って許して和田アキコ!


もう古いお話なのでご存じの方が大半だと思いますが、マイケルが21歳だった1979年に行われたJacksonsディスティニーツアーの日程表の裏に手書きされた彼のマニフェストと呼ばれているメモが、今年の5月にアメリカCBSの60 Minutesで放送されましたね。

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M.J. will be my new name. No more Michael Jackson.
I want a whole new character, a whole new look. I should be a tottally (原文ママ) different person.
People should never think of me as the kid who sang "ABC," "I Want You Back."
I should be a new, incredible actor/singer/dancer that will shock the world.
I will do no interviews. I will be magic. I will be a perfectionist, a researcher, a trainer, a masterer (原文ママ).
I will be better than every great actor roped into one.
I "must" have the most incredable training system. to dig and dig and dig until I find.

I will study and look back on the whole world of entertainment and perfect it, take it steps further from where the greats left off.


M.J.が僕の新しい名前になる。マイケル・ジャクソンは終わりだ。
全く新しいキャラクター、全く新しいスタイルが欲しい。すっかり別人になるほうがいい。
世間に僕のことを「ABC」や「帰ってほしいの」を歌った子供だなんて思わせないように。
僕は新しくて驚くほど素晴らしい俳優、歌手、ダンサーになって、世界に衝撃を与えるんだ。
インタビューには答えない。神秘的で魔法のような魅力をもつんだ。完璧主義者に、研究者に、訓練を積む者に、そして最高の達人になる。
偉大な俳優と呼ばれている誰をも超える。
それには最も驚異的なトレーニングシステムを身につけなければ“ならない”。しっかり理解して取り組むんだ。それを自分のものにするまで。

全世界のエンターテイメントを思い返して研究し、完璧に仕上げる。偉大な先人の後を受けて、さらにステップアップさせるんだ。



・・・あー、しびれる\(^o^)/


しびれ箇所は数々あれど、この用紙の一番先頭に書かれている注意書き。

This was written before thriller years ago
これはスリラーの年のずっと前に書かれたもの


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これはインクの色の濃さの違いからスリラーブレイク後に彼が書いたのでしょうが、21歳でこの宣言を書き、ずっと大切に持っていて(ここがすごいじゃないの奥さん)、スリラーで音楽シーンを一変させるような金字塔を打ち立てた後に、あとから意味づけしたような後出しじゃないかんね!と釘を刺すように付け加えるところがKingらしくて、んも~しびれますぅ。きゃはー

ていう能天気な感想もありますが、本当にしびれるのは彼はこのメモに記した事柄を、彼の言うところの「トレーニングシステム」により書き出し実行し、そしてメモに書かれた以上の現実を完璧に引き寄せ、さらには若干21歳でメモに書いたこれらの決意を、その生涯でぶれることなく投げ出すことなく保ち続ける事を全うしたという事に、なのです。

1979年。

これを書いたツアーの日程表は6月のもの。

日程表をもらってすぐに書いたのか、ツアーの合間に書いたのか、ツアー終了後に書いたのか、とてもとても気になるのですが(こういうところをなぜか気にするあてくしw)

その2か月後の8月、彼の人生を大きく変える二つの出来事がありました。

ひとつは78年から取り掛かっていた初の完全オリジナルソロアルバム「Off The Wall」の発売。
1976年にモータウンからエピックへの移籍を果たし、ジャクソンズ主導のアルバム制作を認めさせたものの、あくまでそれらはジャクソンズとしてのカラーを保たねばならなかったもの。
クインシーに導かれたとはいえ、初めて一人で何もかも掌握し決定して制作することを許されたOff The Wallは、彼の正念場でもあり同時に輝かしい船出でもありました。

そしてもうひとつは、父ジョーとのマネージメント契約が誕生日に満了を迎え、そして彼は再びその契約更新をせずに、父の配下から逃れ何もかもすべて自分の采配で物事を決める自由を手に入れました。

彼にとって1979年は、常に何かに縛られていたそれまでの窮屈なしがらみから解き放たれた年。
やりたい音楽を好きに生み出し表現し、発表するという自由と、人生をコントロールする舵を自分がとる自由。
それらを手に入れた時、彼は自分の歩む道を、その方向を、確実に見据えて一歩を踏み出したのですね。

当時のインタビューではジャクソンズからの脱退などありえないと語りながら、脱退する気まんまんだよねジャクソン先生ったらん^^

なぜなら
ABCを歌ったジャクソンズの一員のままではたどり着けないゴールを決めたから。

その決意の証が M.J.という名前。


彼がアンダーラインを引いた箇所、I will be better than every great actor roped into one every great actorはとても興味深くて。
every great entertainerではなく actor。


■Interview Magazine 1982年10月号

演じることは好きなの?と問われて

I love it so much. It’s escape. It’s fun.
It’s just neat to become another thing, another person.
Especially when you really believe it and it’s not like you’re acting.
I always hated the word ‘acting’ to say, ‘I’m an actor.’
It should be more than that. It should be more like a believer.

僕は演技をすることが大好きなんだ。開放されて自由になるし、楽しいよ。
違う何ものかになるというのは、本当に素晴らしいよ。
特に、演じているみたいな感じじゃなくて、本当にそうなんだと信じられた時がね。
僕は常日頃から「演じる」って言葉や「僕は演技をする人です」なんて言うのが嫌いなんだ。
もっとそれ以上の存在であるべきだ。「演技をする人」じゃなく「信じる人」であるべきなんだよ。



いわば彼は、驚愕に値するacterとして、最初に選び、そして生涯取り組んだ役が、後のKingとなるM.J.というキャラクターだったと思えてなりません。
自分であって自分とは違う、自分から生まれたもう一人の自分。
けれども「演じる」のではなくとことん自分の中のリアリティをそのキャラクターに投影し、観衆にキャラクターを演じている、なんて絶対に感じさせず、もはや「なりきる」ことをも通り越し、まさに信じて。

彼はマイケル・ジョセフ・ジャクソンという、当時すでに16年のキャリアを誇るもかつての天才ちびっこアイドルのイメージが染みついた自分、にもかかわらず外見はどんどんそこから離れていくジレンマを抱える自分、そんな自分のままでは、本気で成し遂げたかったことや辿り着きたかったゴール、それらに向かうにはあまりにふさわしくないと感じたのかもしれません。

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自分が決めた、その目指す頂きへ一直線に向かうためには、一旦何もかも白紙の状態にし、新たに何ものにも支配されない理想の自分になる必要があると。

子供の頃はさておき、思春期に入りニキビに伴うコンプレックスを抱えたシャイで伏し目がちな普段の自分からは想像もつかないほど、ステージ上では大胆で情熱的で自信に満ち溢れ堂々としていてセクシーで人を引き付け魅了し、とにかく素晴らしくエネルギッシュな自分になることを、本人も早い段階から気づいていたはずで。

見据えた目標が大きければ大きいほど、ゴールの頂きが高ければ高いほど、それらを手に入れるのは、普段のマイケルではなく、ステージ上でのみ存在するもう一人の自分にこそふさわしいチャレンジになると考えたとしてもおかしくないわけで。

その自分をM.J.とし、さらにそのキャラクターを「すっかり別人」とし鮮烈なものにするべく、そのはじめの一歩として彼は、アフロを切り鼻を変え、 I will be magic、神秘をまとうことを決めたのではないかと。

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著書ムーンウォークで、1977年のジャクソンズ・バラエティショーについて批判している彼ですが(P133~137)、一番の懸念だったのが毎週放送されることによる過度の露出についてでした。

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おーまいが、だめだよそんなうねうねパーマ!アフロにしたきゃもっとくるくるちりちりにしなきゃ!

彼は番組内でさまざまなキャラクターを「演じる」コントそのものは、おそらくですが気に入っていたのではないかと思うのですが、年に1回ほどの特別番組ならまだしも毎週となると、アーティストよりもコメディアンのイメージが定着したあげくいずれ世間から飽きられてしまうということをわかっていたからですね。

過度な露出を嫌う傾向はその後も長く続きましたが、彼は常に I will be magic を心がけていたのでしょうね。

マイケルの親友、クリス・タッカーが、マイケルのその賢いやり方におおいに学んだとインタビューで語っています。
(Source:Chris Tucker and Brett Ratner INTERVIEW

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「クリス見た?あの娘僕にウィンクしたよ絶対僕のこと好きだよね、ね、ね、ね!」「う、うん(てかイテーよ肩!)」

”僕はとってもイカす女の子とYou Rock My Worldの撮影セットで会った。
なんとマイケル・ジャクソンと一緒にだ!まさに生きる伝説、まさに僕が賞賛してやまない人と一緒に仕事をしたんだ。ほんとに信じられないことだったよ。
だってマイケルは毎年アルバムを出さずにめったに出てこない。
彼は5年ごとにアルバムを出すんだ、そして出てきたと思ったらデカいことをしでかす。
彼は本当に自分の露出を過多にしなかった。
彼を見てたくさんのことを学んだよ、あまり自分をさらさないやり方とかをね”

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魔法や奇術には人の口をぽかんと開けさすほどの驚きを与え、結果気付けばたとえようもなく魅了されてしまっている、という不思議な魅力があります。
何年もアルバムを出さないだとかで露出をできる限り控え、どうしたんだろう、彼はいつ現れるのだろうと人々をやきもきさせ、いざ登場するとなったら、誰もが驚き興奮し立ち上がって手を叩き熱狂してしまう・・そんな神秘と魔法を繰り返し与えてくれた彼のやり方は、1979年に小さな決意として書き残されていたのですね。

・・というのは、もちろんわたしの勝手な解釈なんですけれど^^



彼の考えの経緯や真偽はともかく、この時からM.J. とマイケルは一緒に走りだしました。

彼の音楽とダンスにおける I will be a perfectionist, a researcher, a trainer, a masterer に関しては、何度か過去に書きました。

このメモにはそのために「身につけなくては“ならない”システム(習慣)」があると書かれています。
さて、その「最も驚異的なトレーニングシステム」ですが、おそらくこれは彼が早い時期から取り組んできたと思われるいわゆるメンタルマネージメントだと思います。

デール・カーネギーに代表されるメンタルマネージメント・ノウハウというものは、現在も多岐にわたって数多く存在しているわけですが、わたしも20代の頃この種の本を何冊も読みました。

それは数学の博士号をとるよりも、はるかにはるかに簡単で、誰もがすぐにできることばかり。
例えば、なりたい自分や夢、目標などを書き出し口に出して常に意識することだとか、否定的な考えをしない、ポジティブな自分でいるようにすることだとか。
ところがどっこい。
何が難しいかと言うと、それらを継続することが一番難しいことなのです。

マイケルの何がすごいかというと、彼はこれらのマネージメントノウハウを頭はもとより無意識化にまで、深く深く刻み付け実践し、それをおそらく最後の日まで継続しつづけていたと思われることです。


1980年、当時「黄昏(On Golden Pond)」という映画を撮影をしていたジェーン・フォンダをマイケルはたずね10日ほどを一緒に過ごしたそうです。

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1980年9月「黄昏」ロケ地 New Hampshireにて なぜに HAWAIIのキャップなのかちら?まーいーわ許すー♪

その前年にはすでにフォンダと親交があったマイケル。

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1979年10月フォンダ主催のハロウィンパーティーにて。後ろのおっちゃん誰かわかりませんw

WIZの経験で映画を観るだけではなく制作の魅力に開眼していたマイケルは、「Study the greats and Become greater」精神と「I will be better than every great actor roped into one」の為でしょうか、80年代は特に多くの偉大だとされている名優たちと接触を図っています。
黄昏を撮影していたジェーン・フォンダとその父ヘンリー・フォンダ、競演のキャサリン・ヘップバーンとも親交を深めていたのはこの頃です。

その頃の思い出をジェーンが語っています。
source:Michael's self-motivation tapes‐Jane Fonda)

”私が「黄昏」を撮っていた時、マイケル・ジャクソンは私と10日間暮らしました。
彼は床に敷いたマットレスで寝て、私はロフトにいたのです。
1台のテープレコーダーがあって、私が下を見下ろすと、テープレコーダーのコードが彼の枕にのびていて。
彼が聞こうとしていたテープの内容はこうでした。
「‘You’re a good person, it’s going to be OK.’あなたは良い人です、きっとうまくいきます」”

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潜在意識への働きかけを行っていたのですね。



フランク・カシオの著書で、読書が苦手なフランクにマイケルが成功哲学を伝え、多くの関連本を薦めたという記述がありますね。マイケルの習慣は「読書と瞑想と研究だった」とも書いていました。

フランクに薦めた本 ※My Friend MICHAEL P96 P108
●The Power of Positive Thinking 「積極的考え方の力―ポジティブ思考が人生を変える」1952年出版(ノーマン ・ヴィンセント・ピール著)
「ポジティブ思考」という言葉を初めて使い、幸せな人生のための考え方の本で、著者は神父でもあったことから宗教的側面からも教えを説いています。
内容:「自分自身を信じよ。憎悪を心から、悩みを脳裏から追放せよ。期待することは少なく、与えることを多くせよ。生活に愛をもって満たせ。自分を忘れて、他者を思いやれ」等々

●The Greatest Salesman In The World 「地上最強の商人」1968年出版(オグ・マンディーノ著)
成功の鉄則を朝昼晩となえて前向きな考えを徹底することが述べられています。
内容:「良い習慣をつくり、自ら、その奴隷となる」「成功するまで頑張りつづける」「今日が人生最後の日であると心得て生きる」「今、ただちに行動する」等々

●The Power of Your Subconscious Mind 「眠りながら成功する」1963出版(ジョセフ・マーフィー著)
潜在意識の力を活用するために徹底的に意識する事柄を説いています。
内容:「「できない」という言葉を決して使ってはいけない。潜在意識の力によって何でもできるのだと肯定せよ」「あなたの害になったり、あなたを傷つけるようなことを信じてはいけない」「自らを貶める否定的な言葉、汚い言葉、人を貶める言葉を使うことは最もいけないこと」等々

●Creative Visualization 「理想の自分になれる法」1978年出版(シャクティ・ガワイン著)
内容:イメージやアイデアは抱き続けると必ず実現する。それらをあえて「宣言」することで否定的な思いが肯定的な思いに変わります。宣言は強力なテクニックだとしています。
例:私は毎日、あらゆる面で良くなっています。・私は光と愛に満ちた存在です。・私は人生を思うように生きることができます、等々を口に出して宣言する。等々

これらの本はいずれも出版が大変古いものですが、ある意味メンタルマネージメントの元祖的な名著ばかりです。
ざっと目を通しただけでも、「やってたんだねマイケル!」と思われるメソッドがたくさん。
汚い言葉を嫌った理由は、元々の優しい気質からと同時に、案外これらのメソッドが大きく影響していたのかもしれません。
「できない」に代表される否定語や憎悪を表すような言葉は、思い浮かべることも、ましてや口に出すことによって、脳の潜在意識に刻み込まれそういった言葉から連想される事柄も現実になってしまう、とはもはやこの世界の常識です。
1978年ごろの彼にとってFunkyという「黒人の体臭」を侮蔑する意味合いがあったこの言葉は「人を貶める言葉」にランクインしていたのかもしれません。
だんだんその意味合いが変わってきて、いつごろからか彼の中でランク圏外になったFunky。
のちにバンバン使いますw 真面目だよなーほんと^^

I "must" have the most incredable training system. to dig and dig and dig until I find.
最も驚異的なトレーニングの習慣を身につけなければ“ならない”。しっかり理解して取り組むんだ。それを自分のものにするまで。


そうして書かれた言葉たち・・

MJmental332023248_s.jpg
80年前半スリラー以前とされているメモ

Mental program - Thought of the subconscious to become the Best M.J.
メンタルプログラム -最上級を目指すための潜在意識の思考力 M.J.


Dream: Greatest Actor, Singer, Dancer of all time and Entertainer, The Best.
Confidence
Faith
Persistence
Belief
Study the great of your field and become Greater.
Know the secrets of your endeavor "The Method"
Mind Target: Control and Influence the subconscious
Best in your field
Be Scientist know.
The Great's Method Try out and then perfect it.
Move Mountains
True Training: A never ending persistence to equal or exceed the performance in your minds eye

夢:偉大な俳優・シンガー・前代未聞のダンサー・エンターテイナー、しかも最上級の
自信
信頼
持続性
信念
自分の分野における偉人から学び、更に超える
自分の努力の“方法”の秘訣を知る
精神的目標:潜在意識の影響のコントロール
その分野での最高を
科学者がするように
偉大な先人の方法を実践し完成させる
山を動かすんだ
正しいトレーニング:頭の中で実際と同じかそれ以上のイメージを終わることなく持続させる



MJ_memoBythetalentgivenmebyGod_s.jpg
By the talent given me by God
Training cultivating it.
Studying the greats in my field and becoming greater.
like a scientist searching persistent
confident to be the Best.
Study the greats and become greater.
Reach the Zenith of my ability as an actor singer dancer. M.J.

神から与えられた才能
それを耕すトレーニング
自分の分野の偉人から学び、その最上を目指す
根気よく研究する科学者のように
ベストである自信をもつ
偉人から学び、彼らを超える
俳優・シンガー・ダンサーとしての自分の能力の頂点に達する M.J.



MJ_mental_Pebble Beach
詩集Dancing The Dreamに使われた写真撮影をしたので有名なPebble BeachのThe Lodgeのランドリーカードの裏に書かれたもの。

I’m beautiful. I’m beautiful. I’m beautiful. I’m beautiful. I’m gorgeous.
God is for me, who can be against me?
I’m beautiful. I’m a new person now.
Beautiful, knowing the secrets and determined with fire to move mountains in all I do.
Molding my own world.
I’m beautiful.
The old me is behind. I will march ahead anew.
M.J.

僕は素晴らしい 僕は素晴らしい 僕は素晴らしい
神がお味方をしてくださる僕に誰が背を向けられるだろう
僕は美しい 今や僕は生まれ変わった 
美しく、人生の秘訣を知ったうえで、行う事すべてにおいて山をも動かすほどの断固たる決意と共に
自分自身にしか作れない世界を形作るんだ
僕は美しい
昔の僕は過去に残して、新たに前へ向かって堂々と進んでいくんだ
M.J.

I have learned that it is what you put in your mind mentally
What you think and do, that makes your person.
and you can put any mental object in this mind and it will bring it to reality.
So this means,
We can program ourselves to be the people we want to be,

what ever the subject matter is,
live in it by a mental physical program,
a system of learning and doing,
studying all the greats in the field and becoming greater.
My program will consist of

僕は何事も精神的な思考から始まる事を学んだ
何を考えどう行動するかでその人は決まる
心に浮かぶどんなことでもそれを強く頭でイメージすれば現実に至るんだ
つまりこういうことだ
僕らはなりたい自分になるように自分でプログラムできる

その内容が何であろうと、学んで実践するシステムで精神的、身体的にプログラムして、その分野におけるすべての偉人から学び、彼らを超えて生きていくんだ
僕のプログラムはもうできている


最後のメモがいつごろ書かれたものかは未確認です。
彼は80年後半から頻繁にこのロッジに来ていたようですが・・。
BADの頃に書かれたものか、91年のDancing The Dream撮影時に書かれたものかどうかはわかりませんが、彼は新しい何かをするたびに、新しいM.J.へと進化しようとしていたのでしょうか。
1979年に新しい名前と共に新生した時

僕は新しくて驚くほど素晴らしい俳優、歌手、ダンサーになって、世界に衝撃を与えるんだ

と力強く宣言し、Off The Wallで見事にソロアーティストとしての脱皮を果たし、Thrillerで文字通り世界に衝撃を与え、音楽史上に誇る業績を残した後でさえ満足することなく、さらにもっと斬新で独創性に富んだエンターテイメントを多くの人に届けるために

今や僕は生まれ変わった 

昔の僕は過去に残して、新たに前へ向かって堂々と進んでいくんだ

と、その眼はいつまでも前を見据えて。


続きます。


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gonpee2008

Author:gonpee2008
名前はakim
家族は主人と猫のゴン&ピー
いたってノーマル・・だけどMJバカw

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