fc2ブログ

Michael と Steve Jobs その4

変人と聞くと、すぐに思い浮かんでしまうのが、マイケルへの蔑称、「Wacko Jacko」
奇人・変人の意味のWackoと、Jacksonの略称、Jackoをかけた造語です。
最近マイケルのファンになった方の中には、これが彼を侮蔑している事を知らずにニックネームだと思っていたという方も少なくないようです。
できれば、マイケルがクインシー・ジョーンズに「スメリー」と呼ばれていたことなんか知らなくてもいいから、この呼び名をマイケルが嫌っていた事を覚えていて欲しいです(^^; よろしくお願いします~w

med_gallery_8_122_109682.jpg
これQがくれたんだよ♪


さすがに今は彼を指してWackoと書く雑誌はないみたいですが、UKでは未だに見出しにJackoの文字を見かけます。
使っている側が仮に「親しみを込めている」みたいな言い訳をしても、この言葉に散々傷ついてきた彼を知っているファンからすれば、この呼び名を使った瞬間に「なるほどザ・ワールド」で愛川欽也ことキンキンが「ハイ、ダメー!」とテーブルを叩いて×が出るのと同じなのです。

ジョブズ氏も周りから「変人」と呼ばれることが多かったと聞きます。
その理由は、お風呂嫌いでヒッピーかぶれで禅マニアで、同じ服装ばかりして、Apple社からの報酬は年間1ドルでいいと自ら決めて、慈善事業は全くやらず、少しでも気に入らないと辛らつに部下にあたりそのそのクビを簡単に切り・・などなどですが、こんなことも一方聞いて沙汰するなで、本当のところは深い意味や理由があるのかもしれません。

同じ服装ばかり、というところは、確かに彼のトレードマークは黒いタートルとデニムスタイルでしたけれど、そのタートルはイッセイ・ミヤケに特注したものだとか。
きっかけは80年代初めにSONYの工場を訪問した際、従業員のユニフォームがイッセイ・ミヤケだということにいたく感動し、Appleでもユニフォームをと提案しますが社員に猛反発をくらってその計画は泣く泣くあきらめたとか。
ですが、ジョブズ氏は着る服を考えるわずらわしさから開放されることと同時に、自分のスタイルをシンボル化させたいと考え、個人的にイッセイ・ミヤケに自分だけのユニフォームを、と依頼したそうです。
それがあの黒タートル。イッセイ側は全く同じもの100着の依頼にこたえたのだとか。

黒いタートルにリーバイス501。
そのスタイルはジョブズ氏のまさにシンボルとなりました。

Apple-CEO-Steve-Jobs-Keynote-Fashion-Evolution.jpg


PixarGoodbye.jpeg
ピクサーアニメーションのキャラクターみんなジョブズスタイルw


何の説明も要らないその人をあらわすスタイル。

指の先の白いテープ
右腕の腕章
光り輝く片手だけの手袋
黒いフェドラ帽・・

変わっているのかも知れないけれど、ふたりを愛する人たちにとってそのシンボルたちは、彼らを思い起こさせるどこまでもいとおしい大切なアイテムですよね・・

洋服が自分を表現する手段だと思う人にとっては、毎日毎日同じ格好というだけで、それは充分変人と呼ぶに値することなのだと思いますけれど、ジョブズ氏にすれば自分をシンボル化するという究極の表現をしているわけで、それは単なる考え方の相違ともいえると思います。

なにをもってして「変人」とするのかは、マイケルにしろジョブズ氏にしろ、普通ではない発言や発想や選択からなのでしょうが、結局世の中の大いなる偉大な人物は、そういう意味では全員変人です。
隣の誰かといつも同じ考えであれば、人々の記憶に残るような何かを大きく変える偉大な業績も結果も記録も残せなかったでしょうから。


ジョブズ氏はこの記事の「その1」での1984年インタビューに答えた1年後に、その変人ぶりが原因かどうかはさておき周囲との修復不可能な軋轢によって自ら創ったApple社を追われます。
その後、時代はWindowsというOSによりビル・ゲイツ氏率いるマイクロソフト社の天下に。
Appleはかつての勢いを無くし存亡の危機に追い込まれていきます。

ジョブズ氏はその間、新たなベンチャー会社を立ち上げ、あのピクサーを買収し、と自分のやりたいことにひたすら邁進していましたが、1997年に紆余曲折ありながらAppleへの復帰を果たします。
彼がまず行ったことは、瀕死のAppleをもう一度立て直す事。
その際彼が行った、わたしも大好きだったパソコンと言うよりはあまりに斬新でおしゃれなiMacの発売、そして新生Appleを象徴する「Think Different」という一大キャンペーンを展開する事でした。
これらによってAppleのイメージは回復し、その後2001年にAppleのCEOに返り咲き、iPodを始め次から次へと怒涛のApple快進撃へと繋がっていきます。

"Think Different"「発想を変えよう」というタイトルは、確かに文字通りの意味もありますが、当時ハード業界では王座に君臨していたIBMの掲げていた"Think"(IBMのThink Padは有名でした)に真っ向から戦いを挑んでいると当時話題になりました。("Think Different"=Thinkではない)
このあたりも孫さんの話を聞いた後だとジョブズ氏のピーターパン的姿勢といいますか、フック船長に直球勝負!みたいな風に感じられて面白いです。

わたしも当時のことはよく覚えているのですが、基本Macユーザーと呼ばれる人々は当時からあのリンゴのマークがついた製品を、ただのパソコンというにはあまりにも愛していて、それは車でいうと手に入れやすい国産車ではなく特別な思い入れのあるポルシェのような、といいますか、Macを語りだすととまらないぐらいの愛でようだったのです。
今、お使いのPCのどこが素晴らしいか語れます?w
彼らにとっては、単なる道具としてのコンピューターではなくて、きちんとしたコンセプトを理解し、デザインの美しさを愛し、使い勝手など細部にわたって貫かれているAppleのポリシーを支持していたのですね。
だから、そこの象徴であるジョブズ氏がAppleを去った後、母親を無くした子供のようになり、ママのいないおうちにはもう愛情を注ぐ事ができなくなった・・これがApple衰退の一因ではないかと思っています。
ですから97年のジョブズ氏の復帰により業績もイメージも急激に回復するということは、不思議でもなんでもないことだったのですね。
ママが帰って来てくれたのですから。

そういう意味では、スティーブ・ジョブズと言う人は、奇人・変人とどれだけ世間から揶揄されようと、Macユーザーからはその風変わりな点も含めて熱烈に支持され愛され誇りにされた、経営者としては本当に稀有な人であったと思います。


そのThink DifferentキャンペーンでAppleが流したCMのナレーションです。(日本語バージョンのナレーターは根津甚八さん。US版はジョブズ氏本人です)

Here’s to the crazy ones.
The misfits.
The rebels.
The troublemakers.
The round pegs in the square holes.
The ones who see things differently.

クレージーな人たちがいる。
反逆者、厄介者と呼ばれる人たち。
四角い穴に丸い杭を打ち込むように
物事をまるで違う目で見る人たち

They’re not fond of rules.
And they have no respect for the status quo.

彼らは規則を嫌う。
彼らは現状を肯定しない。

You can quote them, disagree with them, glorify or vilify them.
About the only thing you cant do is ignore them.
Because they change things.

彼らの言葉に心をうたれる人がいる。
反対する人も、賞賛する人も、けなす人もいる。
しかし、彼らを無視することは、誰にも出来ない。
なぜなら、彼らは物事を変えたからだ。

They push the human race forward.
Maybe they have to be crazy.
While some see them as the crazy ones, we see genius.

彼らは人間を前進させた。
彼らはクレージーと言われるが
私たちは彼らを天才だと思う。

Because the people who are crazy enough to think they can change the world, are the ones who do.

自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えているのだから。



このCM映像に出てくるのは、アインシュタイン、ヒッチコック、キング牧師、エジソン、ピカソ、ガンジー、モハメド・アリ、マリア・カラス、ジョン・レノン・・他(わたしが不勉強だからわからないだけです、すみません><)
様々な業界で名を残した素晴らしい人たちばかり。

キング牧師は、「わたしには夢がある。いつか黒人と白人が共に手をとりあう世界を創る事」と、レストランはおろかバスさえも黒人と白人が同じ場所に同席する事が困難な時代に(でもたった50年前なのです!)高らかに宣言し、ジョン・レノンは正義の名の元にいつ果てるともわからない終わりのないベトナム戦争のまっ最中に「戦争のない世の中を想像してみよう」とImagineを歌いました。
彼らはクレイジーで変人だったのでしょうか。
空を飛べたらいいと思わないかい?と言った兄弟や、学校では劣等性の烙印を押された発明王と同じように。

そのような変人しかこの映像の中に入らないのだとすれば
もし、Think Differentの今のバージョンを作るなら
間違いなくジョブズ氏はこのモノクロの映像の中に入るでしょう。

そしてきっとマイケルも。


自分を信じることだね。
たとえ何があろうとね。もし世界中が僕に反対しても、からかわれても、そんなことはできっこないと言われても僕は気にしない。自分を信じるんだ。たとえ何があろうと。
この世界に足跡を残してきた偉大な人物たちの何人かは、こんな風に扱われていた・・君も知っての通り、「何もできっこない。何も得られるわけない」って。
彼らはライト兄弟を笑った。トーマスエジソンを笑った。ウォルトディズニーを笑った。ヘンリーフォードをジョークのネタにもしたのさ、彼のことを無知だって言って。ディズニーは学校を中退した。
そうやって彼らははるか向こうへ行ったんだ。
こういう人たちが僕らの文化や習慣、生き方、物事のやり方を形作って、そして変えていったんだよ。




Change the world


マイケルとスティーブ・ジョブズ
ふたりの最大の共通点


ジョブズ氏はITで

マイケルは音楽で


世界を変えることを本気で信じた人


Thank you Steve. Rest in peace..

関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

知りませんでした

世の中の流れについていけてなくて、こうやっておじゃますることができるようになっただけでもすごい進歩という身なので、恥ずかしいことに、ジョブズ氏のことは何も知りませんでした。
でもこの度亡くなったニュースを見た時に、年齢のこともありなんとなくマイケルと結びついてはいました。
akimさんのお話にとても納得しています。

夕べ湯川れい子さんと西寺さんがマイケルを語るラジオの再放送を聴きました。
同じ時代を生きてきたのに、なんで私はマイケルをちゃんと知ろうとしていなかったのあの瞬間まで。
といつもの後悔モードに・・・ ^^”
ただ、言い訳ではないけれど、マイケルに対する報道には嫌な感じがしていたし、マスコミが本当のことを伝えるものでないことは以前から感じていたことです。
遅ればせながらもマイケルのことを知れば知るほど、自分が見たり聞いたりして、自分が感じたことを大事にしていこうという気持ちはますます強くなっています。

本当にマイケルには感謝です。心の支えになってくれて。
そしてこうやって、情報だけでなく想いも伝えてくださる方がいてこそです。
akimさんいつもありがとうございます。

kuniさん

こちらこそいつもコメントありがとうございます^^

今回の記事はわたしの勝手な推測と感想ですので、ジョブズに関して必ずしも正しい見解かどうかはわからないです。
彼に対してもマイケルに対しても、10人いれば10人なりの見解があるでしょうから、いちがいに「こうだ」と言う結論は実際はなかなか導く事は難しいですよね。

だからご自分の感じたものを大切になさることでいいのだと思います。
それしかもう出来ないですしね。
でも逆にその想いを人とあわせる必要もないと思います。
自分とマイケルの歴史は人それぞれ違いますものね^^
ただこのブログがkuniさんの感性とどこかで合って、一瞬でもお気持ちが楽になられたなら嬉しいです^^

こんばんは

連日お邪魔してすみません(*^_^*)
いえ、家の主人は昔からのMacユーザーなのですが、まさにakimさんがおっしゃる通りなんですよ!いつもあーだこーだとそれはもう熱く語ります。
先日は九州から銀座Appleまで二人で行って、献花ならぬ献林檎してきました。主人は渋谷Appleにも行ったんですよ(^^ゞ
思い入れが半端ないんです。でもその気持ちほんとよくわかるんです…。

私もakimさんと同じく、マイケルが心血注いだ作品と、すべてをひっくるめた「人」としてのマイケルをずうっーとずうっーと愛し続けていきます♡

確かに誰一人として全く同じ捉え方ってできないけれど、根っこで共感できるってありがたいし、とても嬉しいです!
素敵なお話ありがとうございます。またお邪魔させてくださいね♡


らぶうさん

こちらこそありがとうございます^^

ご主人様は筋金入りのMac信者ですねw すごいなー。
おそらく24日に出た伝記はもう手に入れられたことでしょうね^^
(本かiPadか・・いやつわものは両方かしら?w)
通常の書籍という形ではなくて、電子書籍として彼の作ったiPadで彼の伝記を読む人が一体どれぐらいいるのかしら・・と思いをはせたりします。

そうですね。どこか共感できて想いを分かち合うということができるというのは、本当に嬉しくてありがたいことだと思います。
これからもできるだけ更新頑張りますー。どうぞ気軽にお越しくださいね^^

sidetitleプロフィールsidetitle

gonpee2008

Author:gonpee2008
名前はakim
家族は主人と猫のゴン&ピー
いたってノーマル・・だけどMJバカw

sidetitle最新記事sidetitle
sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitle最新コメントsidetitle
sidetitleリンクsidetitle
sidetitleブロとも申請フォームsidetitle

この人とブロともになる

sidetitle検索フォームsidetitle
sidetitleRSSリンクの表示sidetitle
sidetitleQRコードsidetitle
QRコード