Original Innovative Timeless マイケルが創りだしたもの
いきなりですがアテンションプリーズw
今日のお話は、んもういつも以上に長くて「いつ終わるんだ」とちゃぶ台ひっくり返しそうになりますよ^^
なのでお時間に余裕のない方は、また今度暇で暇で仕方ない時に来てくださったら嬉しいです。
念のため最初にお知らせしておきますねw
今日はヒマなの♪というお方はごゆっくりどぞー^^
フランシス・コッポラ監督の「ドラキュラ」(1992)でアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞し、北京オリンピック(北京五輪)開会式の衣装なども手掛けたアートディレクターでありデザイナーでもある石岡瑛子さん。
彼女を初めて見たのは、お恥ずかしながら昨年のNHKの「プロフェッショナル」というドキュメンタリー番組ででした。
彼女はNYでのとてつもない製作費を投じられたミュージカル「スパイダーマン」のキャラクターや衣装をすべて任されていて、おそらく彼女の生き方にも通じるその妥協を許さない仕事っぷりとこだわりからは、アートに携わる人に共通する一種の頑固さや意志の強さを感じました。
現実的な問題に頭を使うより、いかに高みへたどりつくかにすべての感性と知力を使う彼女の横顔は、とても70歳を過ぎているとは思えず、まるで少女のように可憐で愛らしく、けれどもその眼には、気の遠くなるような経験を積んだ大人にしか持てない深みのある気品が満ちていたのでした。

昨年の9月から病気療養中だったらしく、大変残念なことにこの1月にお亡くなりになられて、(ああ、それにしても尊い仕事を成し遂げた珠玉の才能の喪失が、ここのところ続いていて本当に残念でなりません(/_;))追悼としてその番組「時代を超えろ、革命を起こせ デザイナー・石岡瑛子」の回が再放送され、録画してたのに長い間見ることができなかったのですが、ようやくじっくり鑑賞することができました。
おそらく誰しもが強く印象に残ったであろう、彼女が決して譲らないみっつの流儀。
Original
Revolutionary
Timeless
「誰にもまねできない、革命的な、時代を超える」デザインを生み出したい、そんな仕事がしたい、と広告の仕事から40代で渡米して映画美術の世界へ飛び込み、30年以上このキーワードをいつも念頭に置いてクリエイトする彼女の姿。
誰にもまねできない
革命的な
時代を超える
模倣ではなく、先駆者で、それまでの常識やありかたを、そっくりそのままひっくり返すような斬新さを持ちつつ、いっときの流行などではなく、ましてや古さなど感じることなく、何年たっても何百年経っても受け入れられるような
なにかを
創造者は夢見て求めて、そこにありったけの情熱をかたむけるのですね。
彼女の番組を見終わる頃には、そう、完全にわたしたちのマイケルも同じことを常に追い求め続けていたなぁと想いを馳せていました。
マイケルが「Thriller」を、「聴く」楽しさに加えて「見せる(魅せる)」要素を重視し、歌唱シーンをメインにするのではなく、ミュージックビデオにストーリー性をもたせたことで、短編映画(Short Film)としても楽しめるエンターテイメント作品に仕上げたことは、まさにそれまでのただ歌っている場面、演奏している場面だけのミュージックビデオの概念をひっくり返したということで、まさに革命的であったと言えるでしょう。

でも彼がインタビューなどでよく使っていた言葉は、innovator。
To be an innovator
革新者であれ
革命が既存の概念をひっくり返すような、全く違うものを作る事ならば、革新は、今あるものをもっといいものに新しく改良すること。
今あるものの、さらなる高みを、さらなる向上を、もっと新しく、もっと面白く、Greatのその先へ。
INVINCIBLE制作におけるサウンドについて(2001 Online-audio-chat )
Ummm, yes. Yes. I remember having the guys go back in and create more innovative...
'Cause we don't... um, this is our thing, we don't, uh, a lot of sounds on the album that aren't sounds from keyboards, uh, that are, you know, pretty much programmed into the machines.
We go out and make our own sounds.
We hit on things, we beat on things, so nobody can duplicate what we do.
We make them with our own hands, we find things and we create things.
And uh, that's the most important thing to me, to be a pioneer.
To be an innovator.
うーん・・そう、そうだね。(スタッフの)みんなに戻ってもっと革新的なものを作らせようとしたのを覚えているよ。
なぜなら、僕らはそうしないんだ・・僕らのやり方の話だけど、アルバム(INVINCIBLE)の音の多くは、キーボードから出した音ではなくて、ほらご存じのとおり、(最近は)ほとんど機械でプログラムされているでしょう?
(マシンが創る音ではなく)僕らは外に出て、自分たちの音を作るんだよ。
物を叩いたり、打ったりしてね、だから僕らがそうして作った音は誰も再現することはできないのさ。
僕らは自分たちの手で音を作って、探し出して、創造する。
それが、僕にとって一番大切なことなんだ、パイオニアであることが。
革新者であることがね。
-------------------------
同じインタビューで、アルバムを頻繁に出さない結果、聴衆が離れるということを不安に思うかと聞かれて
I'm, I'm ... No, the answer to your question is that has never concerned me once and I've never thought of it.
Because I've always known if music is truly great or if a movie is truly great, people want to see it or hear it.
No matter where you, how long you've been away, or whatever the situation is. You know, greatness is greatness and if you really do a great job on what you're doing, people want to hear it. Or they want to see it.
You know, it doesn't matter, It really doesn't. Long as you're an innovator and a pioneer, you know.
And that's the most important thing.
Give them what they want to hear.
僕、僕は・・それはないね。君の質問に対する答えとして、僕は決してそのような事を心配したことがないし、考えた事さえないよ。
なぜなら、もしその音楽や映画が本当に素晴らしければ、人はそれを観たいし聴きたいと思う事を、僕は常に知っているから。
アーティストがどこにいようと、どれだけ長く離れていても、どんな状況だとしても、それは問題じゃないんだ。
そうでしょう?素晴らしいものは素晴らしいんだし、もし自分が本当にそんな素晴らしい仕事をしているなら、人は必ず聴きたいし観たいと思うはずなんです。
状況なんて関係ない。本当に関係ないんだよ。革新者、そしてパイオニアでいさえすればね。わかるよね。
最も重要なこと、それは
みんなが聴きたいと思う音楽をだすことなんだ。
-------------------------
マイケルはこの言葉を自分に課していただけでなく、アートに携わる自分の仲間にも贈っています。
過去にもご紹介したマイケルからトラヴィス・ペインへの手紙です。

To TRAVIS
Remember
THe sky is the limit,
Climb every Mountain,
pioneer
innovate
Believe in your ideals
Because you are GOD sent
thank love
トラヴィスへ
覚えておいて
可能性は無限だ
あらゆる山を登るんだ
開拓すること
革新すること
自分の理想を信じて
なぜなら君は神から遣わされたのだから
愛に感謝を
過去記事にも書きましたが、トラヴィスと同じく長年マイケルのよきパートナーであった振付師のラヴェル・スミスもインタビューでこんな風に語っていました。
マイケルはどんな風に人々の記憶に残りたいと思っていたでしょうかと聞かれて
I think he would like to be remembered as someone that was always, you know, making sure that what he delivered to his fans and to his audience was original.
It was innovative.
And he didn't mind if people copy it, but he would always wanted to be the one that did it first.
おわかりだろうけれど、僕が思うに彼はこんなふうに思われたかったんじゃないかな。
いつだってファンや聴衆へ、彼が送り出したものは間違いなく誰にもまねできないオリジナルだった、と。
革新的だったとね。
彼は人に真似られることは気にしていなかったけれど、いつも自分はそれをする最初の人(パイオニア)でいたかったのです。
---------------------------

彼がわたしたちに贈り続けてくれるものは、誰にも真似することができないほどの発想とアイデアの産物。
それら全てがマイケルを、マイケルたらしめる、まさにオリジナルなもの。
ところが不思議なことに、誰にもまねできないほどの独創性をもって彼から生み出されたものたちは
誰もが自然に口ずさめることができるメロディで
誰もが喜んでやりたくなるステップで
何だか簡単に真似をしたくなるようなものばかり
マイケルを特別好き、というわけではない友人(+主人w)何人かに「マイケル・ジャクソンと聞いて一番に何が思い浮かぶ?」と聞いたところ、7人中5人が「ムーンウォーク」と答えました。
そしてその5人が5人とも「ムーンウォークできるならやりたい♪」と答え、そのうち男性陣は「やってみて挫折した」と言ってましたw
1983年5月16日、パサディナ・シヴィック・オーディトリウムで収録された「モータウン 25」がNBCで放送されました。
その、音楽を取り巻く世界の歴史をある意味変えたに違いない番組内での、マイケルの初めてのBillie Jeanパフォのお披露目。
曲の間奏で、突然マイケルが軽やかに流れるようにいとも簡単そうに床を滑っていく姿を見た4500万人の視聴者の、そのほとんどの人々が「マイケルのあのステップ」を話題にし、実際に練習したというムーンウォーク。
遠い日本の、マイケルのファンでもなんでもない男子でも、一度は練習してしまいたくなる魔法のステップ。

もともとあったバックスライドというステップに、マイケルエッセンスが入った途端に、それは新しいステップとなり、一夜にして彼のオリジナルとして認知されたという、革新者マイケルを物語るひとつの例ですよね。
例えばウィットニーを真似るというのは、相当な歌唱力を持っていないとはなから相手にされない感じですが、マイケルの場合はフェドラを目深にかぶるとか、一目見れば「マイケルだ!」と思われるコスプレという奥の手を使うことができますし、パッと見、誰もが知っている楽曲にはそれほど歌唱力を要求されないように思えますし、彼の有名なダンスムーブを少しでもできれば何とか恰好がつきます。
それだけとっつきやすく、ハードルが高そうに思われないのですよね。
でも。
それら簡単に真似できそうに見えるステップも
なじみやすく誰でも口ずさめるメロディも
実際に踊ったり歌ったりするととてつもなく難しいことに気づきます。
ダンスはもちろん素人の手に負えませんが、プロのダンサーであってもマイケルと同じように踊ることのできる人
は、本当に少数ですよね。
振りは同じでも、ぶれない上半身だとか、しなやかだけどキレッキレでしかも品のある動きだとか、どの瞬間を切り取ってもさまになる目線、姿勢、角度、そういうものが、圧倒的に違う。
誰でもできそうなダンスムーブを披露しつつ、結局マイケル本人でなければ美しく踊れないという、究極に(意地悪で)難しいダンスなわけです。
歌に至っては、素人でもなんとか歌えるのは、実はサビ部分のほんの1フレーズだけだった、という歌がとても多い。
マイケルの持つ多種多様な歌唱テクニックがあるからこそ、名曲たちは人々の記憶に残ったのだと思います。
たおやかでのびやかな彼の声だからこそ心に響く歌もあれば、魂を振り絞り聞き手の魂をも揺り動かすような、パンチ力にあふれる歌い方だからこそ、感情をゆさぶられる歌もある。
その歌の持つメッセージを表現する感情を、難なく自分の声に乗せて、しかもその感情に一番しっくりおさまる声質で、一番しっくりくる歌い方で、生まれ持った絶対音感に基づく少しのピッチのずれもない美しい音程を、時にせつなく、時に激しく、時に穏やかに響かせることができる人。
そんな彼が歌うから感動する楽曲たち。
それがどんなに歌の上手い歌手が彼の歌を歌ったとしても、聴いてる側からすればどこか物足りない、と思う所以ではないでしょうか。
誰もが口ずさめるけれども、聴かせる歌にはならない。
それができるのは、やはりマイケル本人しかいないという。

でも「真似る」ことが悪いこととも思えない。
「マイケルみたいに踊りたい」
「マイケルのように歌いたい」
実は決して簡単に真似ることができない彼の創りだしたものたち。
それをやりたいと、やってのけたいと思う気持ちには、彼に対する深い愛情と敬意があると思うからです。
マイケルは、若いアーティストたちが自分を真似ることが、自分に対する敬意の表れなのだということをよくわかっていました。
なぜならば、マイケルこそ「真似る」ことからスタートした人だったから。
I have no problem with them imitating(me).
It’s a compliment.
Everybody has to start out looking up to someone.
For me it was James Brown, Sammy Davis Jr., Jackie Wilson, Fred Astaire, Gene Kelly.
(若いアーティストたちが)僕の真似をしていることは、何の問題もないよ。
それは僕への敬意からくるものなんだ。
誰でも誰かを目標にスタートするものだよ。
僕にとってはそれが、ジェームス・ブラウン、サミー・デイヴィスJr.、ジャッキー・ウィルソン、フレッド・アステア、ジーン・ケリーだったんだから。
TV-Guide interview (2001)より
ゲーリーの小さなおうちのリビングで。
テレビに映る憧れの人を見つめて。
大好きな彼らの歌を真似て、踊りを真似て。
いつしか見つめる先はテレビではなく、ステージへと変わっていったれども。
幼くして様々なステージに立った彼は、自分の出番が終わっても楽屋に帰らず、次から次に出てくる尊敬する偉大な先輩たちのステージを、そのステップや仕草、足さばき、観客ののせ方、いろいろなエッセンスを、全て吸収すべくステージの袖から食い入るように見つめていたといわれています。
彼が幼いころ、おそらくビデオはまだなかったでしょうから、今のようにスロー再生でコマ送り・・みたいなことはできないのですから、彼がどれだけ集中して目に焼き付けて、体で感じて、イメージを叩き込んだか。
彼らはなんて素敵ですごいんだろう、彼らのようになりたい、そしていつか彼らを超えたい
そんな強い情熱が、彼の持つ天性の才能を花開かせ、さらに伸ばし、さらに磨かせたのでしょうね。
若い時期、メモ魔の彼がいたるところに書いていた言葉。
Study the great of your field and become Greater.
自分の分野における偉人から学び、更に大きくなる
studying all the greats in the field and becoming greater.
その分野におけるすべての偉人から学びそしてより大きくなるんだ
Studying the greats in my field and becoming greater.
自分の分野の偉人から学んで、より大きくなること
(過去記事:The Giving Tree -最上級に自分を高め与える事を喜びとした人)
憧れのすごい人たちを注意深く観察し、分析し、彼らの持っているものを自分のものにするために真似て練習して、その先に彼らを超えるような自分だけのオリジナルな域に到達する・・
彼はそれをやってのけましたよね。
かつてはフレッド・アステアやジーン・ケリー、サミー・デイビスJr.のものだったなめらかで軽やかで品のある動き、もしくはジェームズ・ブラウンのものだったゴージャスでファンキーなステップ。
その他にもアーティストとして彼が憧れた無数の先輩たちの持っていた一級品を、ことごとく。
それらは今はもうマイケルのものとなり、それはすでに彼のオリジナルになり、しかも新たに生み出される彼のスタイルはとても革新的で、とっつきやすいのに実践は至難の業で、なのにそれらに魅了される人々は世代を選ばない。
土曜日のスマステの「日本人が好きな洋楽TOP20」でも10代~60代までの幅広い層で支持されて3位でしたね^^
まさにTimeless。
彼がそこへ到達するために自分に課した"Studying the greats in my field and becoming greater."
先人に学びさらなる高みを目指す
その精神みたいなものは、クリエイティブな世界に携わる人だけではなく、どんな分野でも当てはまると思うのですが、なんだかこのマイケルのスピリットに、まさにどんぴしゃ(死語?w)な動画に出会いました。
シルク・ド・ソレイユの " MICHAEL JACKSON THE IMMORTAL WORLD TOUR" 公式HPに振付師としてクレジットされているのは、おなじみのトラヴィス以外に7人。
いずれもそれぞれマドンナやブリトニー・スピアーズ、クリス・ブラウン、セリーヌ・ディオンその他そうそうたる顔ぶれのアーティストたちや、人気番組アメリカン・アイドルなどのパフォーマンスを手掛けてるなど、数多くの実績を積んだ人たちです。
その中にDANIEL “CLOUD” CAMPOS(ダニエル・クラウド・カンポス)がいます。

彼はマドンナのバックダンサーとしてブレイクし、昨年はマイケルの甥っ子、オギーでおなじみのAustin Brownの、おそらく今年発売される(はず)のデビューアルバム85のプロモビデオにも出演しています。
さあ、彼を見つけられるかな?w(Doo Dooおじさんも登場しています♪)
Austin Brown 85
それにしてもオギーのダンスは、本当にマイケル並みのセンスの良さ!

小っちゃかったAuggyが

こんなに立派に^^
むちゃくちゃ楽しみなジャクソンDNAの若き担い手ですよね。
彼は今年85とHighway To The Skyという2アルバムのリリースを予定していて、バレンタインデーには新曲Menage A Troisをリリースしました。
どことなく懐かしのモータウンサウンドが感じられる楽曲。
ダンスだけではなく彼の、ほんの一瞬感じられるMJライクなボーカルも魅力的な1曲です^^
で、そのダニエルさんですが。
彼はダンサーや振付師という枠にとどまらず、自身で総監督も主演も務めた映像作品を沢山Youtubeで公開しています。
実は彼を調べている途中で、彼に関する、さらにこれからわたしがお話ししたいことを、大変詳しく緻密にわかりやすく解説してくださっている記事を見つけました。
もうこれ見てください!っていう感じなんですけれどw
コメントを受け付けておられないので、リンクの了解を得ていないのですが(汗)、MJのことも素晴らしすぎる記事を書かれていますので、興味のある方はぜひこちらから。
で、そのYoutubeですがw
本編の前に4本も予告編があるのですが、ダニエル本人が、ある日自分のアパートのエレベーターで見慣れないスーツケースを見つけるところから物語は始まります。
鍵がかかっていて中身はわからず、誰かの忘れ物かとアパートに「スーツケース預かってます」というお知らせの紙を貼って、とりあえず部屋に保管することにしたダニエル。
不思議なスーツケースはいったい誰のもので中には何が入っているのか?そしていよいよ本編でその謎が明かされる!というちょっとサスペンス風な展開。
Like Mike - Daniel Cloud Campos
貸しスタジオに例のスーツケースを下げて入ってくるダニエルですが、なんだかすでに普段の彼じゃない感じ。
あきらかに「MOONWALKER」の雰囲気w
スタジオBを借りたいと受付で話す声は、あの甘くてか細いハイトーンボイス!
7時からレッスンで使うので40分しか使えないと言われても、Bスタジオになぜかこだわるダニエルは、そのままBスタジオを借りるのです。
スタジオに入ると、ああ、こつこつと靴音を鳴らす足のズーム!
スーツケースを静かにあけると、中からはスモークとともに黒いスパンコールのジャケットが!
そして光り輝くスパンコールの手袋が!
最後は黒のフェドラ帽が!
ああ、なんていうこと!
このスーツケースの持ち主はMJ!
中身は正真正銘のMJ変身グッズだった!!!

シャキーーンw
3点セットを身に着けたダニエルは、もはや完璧にMJになりきって踊ること踊ることww
これがまた・・なんていうか、顔はマイケルと似ても似つかないのに、あごもしゃくれてるしねw
なのに、体型が似ているせいかいちいちなんだか似ているわけで。
MJのSFに似たカメラワーク、カット割りで、彼がとても研究してこの映像を作っているということがわかります。
そして、ダンスはさすがにほぼ完ぺき。
わたしはもともと誰がMJのダンスを踊っても斜めから見ることはないのですが、ダニエルのダンスはわたしの目にはかなり完璧に見えました。
そう、彼はここでMJになりきらなければならなかったのです。
なぜなら、この短編映画でこのシーンはとても重要、なぜかMJのスーツケースにめぐりあった人間が、魔法のMJ3点セットを手に入れると、まるでMJのように踊ることができるというシーンだからです。
LIKE MIKE
マイクのように
おそらくこのタイトルとコンセプトのヒントとして、マイクはマイクでも、マイケル・ジョーダンのマイクで、日本では未公開の映画(DVDは発売されています)からきているのでは?と思えてならないのですが。
LIKE MIKE 邦題「ロスト・キッズ」(2002)
孤児院暮らしのカルヴィン(バウ・ワウ)少年は、ある日「MJ」のイニシャル入りのスニーカーを手に入れました
。
これを履いたカルヴィンは、まるでマイケル・ジョーダンのように軽々とダンクを決めたり、シュートが笑ってしまうぐらい決まってしまうバスケ名人になっちゃいます。
この魔法のスニーカーを履いてなんとNBAのナイツに入団しちゃって、なんと彼の活躍でチームは大躍進を遂げていくのですが・・といった内容。

主人公を演じた当時12歳のバウ・ワウは、実はマイケル以来の大ヒットを繰り出した最年少ソロラッパーとしてギネスブックに登録されているそうで、しかも当時のインタビューで好きな歌手はマイケル・ジャクソンと答えているステキBOY。今はラッパーとして活躍中だとか。(知らなかった、ごめんね)
この映画でキーとなる「MJ」イニシャル入りのスニーカー。
マイケル・ジョーダンになれちゃう魔法のスニーカー。
これが、ダニエルの映画では、スーツケースの中の魔法のMJ3点セットというわけで、これをつけると、まさにマイクのようになれちゃう、LIKE MIKE、なわけで。
だから、このシーンでは絶対に、ダニエルのダンスの才能をいかんなく発揮させて、完璧にMJになりきる必要があったのですね。
大成功!わたしは思わず拍手してしまいましたもの^^
ですけれど、ここからがこの短編映画の本質へとつながります。
MJのように次々と「いかにもMJ」と呼ぶにふさわしいダンスムーブをすらすらとやってのけるダニエル。
「マイクのように踊っている!」とでも言いたげな生き生きとしたダニエルの姿。
ところが、MJの、やはり代名詞ともいえるキックを華麗に決めようとした時に、なんということ!
ダニエルは足を骨折!(爆笑w)
NOOOOO!
叫んだ拍子に反対の足も骨折!(なんでw)
ダニエルが床に倒れこむ瞬間に、これ以上ないぐらいのタイミングで聞こえるマイケルの「Who's Baaaad(フズベー!)」(腹を抱えてワロタww)
その時に映し出される文字が。
DON'T IMITATE... ORIGINATE
模倣するな・・創りだせ
完璧にMJになりきれるダンスの才能がありながら、ダニエルはこれをただMJのダンスムーブを踊るだけの作品にはしていません。
この短編の最後は大笑いの、でもちょっとシュールな終り方をしますが、ダニエルがこの映画に込めたマイケルに対する熱くて深いリスペクトと、そしてマイケルが大切にしていた精神、「先人に学びさらなる高みを目指す」ことが根底に流れているように感じてなりませんでした。
目標にしたい憧れの人を初めは真似ても、最後にはその人を超えて自分独自の高みを目指すのだと。
この「LIKE MIKE」に書かれたダニエルのメッセージ。(訳は先ほどご紹介したブログ様よりお借りしましたm(__)m)
Some things should never be found... some things should never be opened.... and some things should never be stolen. There will never be another... Like Mike. Be true to yourself and there will never be another like YOU...
This is a short film dedicated to the KING himself!! Michael Jackson we miss the magic that you continue to spread around the world with your music, the power of change that you have planted into our hearts with your message, the energy you projected into all of our souls through your moves and the tears of joy and inspiration you have given us through your voice. We are forever grateful for your gifts :)) We love you MJ!!!
決して拾ってはいけないものがある。決して開けてはいけないものがある。・・そして、決して盗んではいけないものがある。比類なき人がいる・・マイクのように。自分自身に忠実であれ。そうすれば“自分”という比類なき存在になれる・・。
これは“キング”その人に捧げるショート・フィルムです。マイケル・ジャクソン、あなたが音楽を通じて世界中に広め続けた魔法、メッセージを通じて僕たちの心に根付かせてくれた変化する力、ダンスを通じて僕たちの魂に注ぎ込んでくれたエネルギー、歌声を通じて僕たちに与えてくれた歓喜と感動の涙が忘れられません。あなたの贈り物に永遠に感謝します。MJ、僕たちはあなたを愛しています!!!
------------------------

涙でてきた(/_;)
「全ての創造は模倣から始まる」という言葉がありますが、模倣で終わってしまえばそれは創造ではないのですね。
ただマイケルを模倣しても、それはただのイミテーション。
創造者は、比類なきこの人から多くのことを学び、そして自分に向き合い自分しか創れないものに心血を注げ。
模倣の先の境地に手を伸ばしてはじめて、「マイケルのもの」から、自分だけのオリジナルにたどり着けるのだから。
そんな風に伝わってきて。
そしてダニエルがどれだけマイケルを敬愛し、彼から贈られたものを大切にしようとしているかが、しみじみと感じられて、すくなくともマイケルイズムのような精神は、本当の才能を持ち、高みを目指す人たちに確実に受け継がれているのだと。
ダニエルはおそらく、IMMORTALでの振り付けを通じてマイケルの素晴らしさを目の当たりにし、彼のすごさを再認識したことで、自身の最新作は、これこそトリビュートというにふさわしいものに仕上げたかったのではないかと思います。
ダニエル自身が、ダンスだけではなくマイケルも魅了された映像の世界でも独自の感性をこうして表現し続ける人だということを知ったら、マイケルはきっと喜んだのではないかなと。
ダニエルの「LIKE MIKE」は、うまく言えませんが、あのダンスシーンがこのファンタジー作品のストーリーの重要な核だったから、完全にひとつの短編映画として独立して観ることができた。
だからでしょう、何回も観て爆笑して、ダニエルがスーツケースを開けるシーンとかから本当にわくわくして、完璧なMJダンスを踊るシーンを純粋に心から楽しめたのです、わたしはね^^
マイケルは一度も出てこないのに、小道具ひとつで、指先の動作ひとつで、「おおMJ!」と誰もに思わせてしまうとは、マイケルの創りだしたものたちが、いかに底知れないパワーでもってわたしたちの記憶に深く濃く刻まれたかがあらためて。
その記憶はこれからもずっと。
I always want to do music that inspires or influences another generation.
You want what you create to live, be it sculpture or painting or music.
Like Michelangelo, he said, “I know the creator will go, but his work survives.
That is why to escape death, I attempt to bind my soul to my work.’
And that’s how I feel.
I give my all to my work. I want it to just live.
僕はいつも、自分とは違う世代を動かしたり影響を与える音楽をやりたいと思っているんだ
自分が創造するものには、彫刻か絵画か音楽か、何にしても、長く生きていて欲しいと思うものさ
ミケランジェロのようにね、彼はこう言った
「私は、創作者はいなくなっても、その作品は永く生き続けることを知っている
それゆえ、私は死から逃げるために、自分の魂を作品に縛りつけようと試みる」とね
僕も、そんなふうに感じている
僕の魂のすべてを自分の作品に与えているよ、その作品が永く生き続けてほしいから

だいじょうぶ
永く生き続けるよ マイケル
だってあなたの魂を注ぎ込んだ音楽やダンスや
あなたを象徴するシンボルたちは
Original
Innovative
Timeless
誰にもまねできない
革新的な
時代を超えたものなのだから
だから、ずっとずっと生き続けるから
ミケランジェロが誰なのかなんて知らない小さな子供が
あなたの曲では踊るのよ
だいじょうぶ
今この瞬間も
世界のどこかで誰かが
あなたの曲をくちずさみ
あなたの曲で踊り
あなたのダンスで心躍らせ
あなたの生き方に胸を熱くしているから
あなたの生み出したものすべては
わたしたちとともにずっと
ずっと
今日のお話は、んもういつも以上に長くて「いつ終わるんだ」とちゃぶ台ひっくり返しそうになりますよ^^
なのでお時間に余裕のない方は、また今度暇で暇で仕方ない時に来てくださったら嬉しいです。
念のため最初にお知らせしておきますねw
今日はヒマなの♪というお方はごゆっくりどぞー^^
フランシス・コッポラ監督の「ドラキュラ」(1992)でアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞し、北京オリンピック(北京五輪)開会式の衣装なども手掛けたアートディレクターでありデザイナーでもある石岡瑛子さん。
彼女を初めて見たのは、お恥ずかしながら昨年のNHKの「プロフェッショナル」というドキュメンタリー番組ででした。
彼女はNYでのとてつもない製作費を投じられたミュージカル「スパイダーマン」のキャラクターや衣装をすべて任されていて、おそらく彼女の生き方にも通じるその妥協を許さない仕事っぷりとこだわりからは、アートに携わる人に共通する一種の頑固さや意志の強さを感じました。
現実的な問題に頭を使うより、いかに高みへたどりつくかにすべての感性と知力を使う彼女の横顔は、とても70歳を過ぎているとは思えず、まるで少女のように可憐で愛らしく、けれどもその眼には、気の遠くなるような経験を積んだ大人にしか持てない深みのある気品が満ちていたのでした。

昨年の9月から病気療養中だったらしく、大変残念なことにこの1月にお亡くなりになられて、(ああ、それにしても尊い仕事を成し遂げた珠玉の才能の喪失が、ここのところ続いていて本当に残念でなりません(/_;))追悼としてその番組「時代を超えろ、革命を起こせ デザイナー・石岡瑛子」の回が再放送され、録画してたのに長い間見ることができなかったのですが、ようやくじっくり鑑賞することができました。
おそらく誰しもが強く印象に残ったであろう、彼女が決して譲らないみっつの流儀。
Original
Revolutionary
Timeless
「誰にもまねできない、革命的な、時代を超える」デザインを生み出したい、そんな仕事がしたい、と広告の仕事から40代で渡米して映画美術の世界へ飛び込み、30年以上このキーワードをいつも念頭に置いてクリエイトする彼女の姿。
誰にもまねできない
革命的な
時代を超える
模倣ではなく、先駆者で、それまでの常識やありかたを、そっくりそのままひっくり返すような斬新さを持ちつつ、いっときの流行などではなく、ましてや古さなど感じることなく、何年たっても何百年経っても受け入れられるような
なにかを
創造者は夢見て求めて、そこにありったけの情熱をかたむけるのですね。
彼女の番組を見終わる頃には、そう、完全にわたしたちのマイケルも同じことを常に追い求め続けていたなぁと想いを馳せていました。
マイケルが「Thriller」を、「聴く」楽しさに加えて「見せる(魅せる)」要素を重視し、歌唱シーンをメインにするのではなく、ミュージックビデオにストーリー性をもたせたことで、短編映画(Short Film)としても楽しめるエンターテイメント作品に仕上げたことは、まさにそれまでのただ歌っている場面、演奏している場面だけのミュージックビデオの概念をひっくり返したということで、まさに革命的であったと言えるでしょう。

でも彼がインタビューなどでよく使っていた言葉は、innovator。
To be an innovator
革新者であれ
革命が既存の概念をひっくり返すような、全く違うものを作る事ならば、革新は、今あるものをもっといいものに新しく改良すること。
今あるものの、さらなる高みを、さらなる向上を、もっと新しく、もっと面白く、Greatのその先へ。
INVINCIBLE制作におけるサウンドについて(2001 Online-audio-chat )
Ummm, yes. Yes. I remember having the guys go back in and create more innovative...
'Cause we don't... um, this is our thing, we don't, uh, a lot of sounds on the album that aren't sounds from keyboards, uh, that are, you know, pretty much programmed into the machines.
We go out and make our own sounds.
We hit on things, we beat on things, so nobody can duplicate what we do.
We make them with our own hands, we find things and we create things.
And uh, that's the most important thing to me, to be a pioneer.
To be an innovator.
うーん・・そう、そうだね。(スタッフの)みんなに戻ってもっと革新的なものを作らせようとしたのを覚えているよ。
なぜなら、僕らはそうしないんだ・・僕らのやり方の話だけど、アルバム(INVINCIBLE)の音の多くは、キーボードから出した音ではなくて、ほらご存じのとおり、(最近は)ほとんど機械でプログラムされているでしょう?
(マシンが創る音ではなく)僕らは外に出て、自分たちの音を作るんだよ。
物を叩いたり、打ったりしてね、だから僕らがそうして作った音は誰も再現することはできないのさ。
僕らは自分たちの手で音を作って、探し出して、創造する。
それが、僕にとって一番大切なことなんだ、パイオニアであることが。
革新者であることがね。
-------------------------
同じインタビューで、アルバムを頻繁に出さない結果、聴衆が離れるということを不安に思うかと聞かれて
I'm, I'm ... No, the answer to your question is that has never concerned me once and I've never thought of it.
Because I've always known if music is truly great or if a movie is truly great, people want to see it or hear it.
No matter where you, how long you've been away, or whatever the situation is. You know, greatness is greatness and if you really do a great job on what you're doing, people want to hear it. Or they want to see it.
You know, it doesn't matter, It really doesn't. Long as you're an innovator and a pioneer, you know.
And that's the most important thing.
Give them what they want to hear.
僕、僕は・・それはないね。君の質問に対する答えとして、僕は決してそのような事を心配したことがないし、考えた事さえないよ。
なぜなら、もしその音楽や映画が本当に素晴らしければ、人はそれを観たいし聴きたいと思う事を、僕は常に知っているから。
アーティストがどこにいようと、どれだけ長く離れていても、どんな状況だとしても、それは問題じゃないんだ。
そうでしょう?素晴らしいものは素晴らしいんだし、もし自分が本当にそんな素晴らしい仕事をしているなら、人は必ず聴きたいし観たいと思うはずなんです。
状況なんて関係ない。本当に関係ないんだよ。革新者、そしてパイオニアでいさえすればね。わかるよね。
最も重要なこと、それは
みんなが聴きたいと思う音楽をだすことなんだ。
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マイケルはこの言葉を自分に課していただけでなく、アートに携わる自分の仲間にも贈っています。
過去にもご紹介したマイケルからトラヴィス・ペインへの手紙です。

To TRAVIS
Remember
THe sky is the limit,
Climb every Mountain,
pioneer
innovate
Believe in your ideals
Because you are GOD sent
thank love
トラヴィスへ
覚えておいて
可能性は無限だ
あらゆる山を登るんだ
開拓すること
革新すること
自分の理想を信じて
なぜなら君は神から遣わされたのだから
愛に感謝を
過去記事にも書きましたが、トラヴィスと同じく長年マイケルのよきパートナーであった振付師のラヴェル・スミスもインタビューでこんな風に語っていました。
マイケルはどんな風に人々の記憶に残りたいと思っていたでしょうかと聞かれて
I think he would like to be remembered as someone that was always, you know, making sure that what he delivered to his fans and to his audience was original.
It was innovative.
And he didn't mind if people copy it, but he would always wanted to be the one that did it first.
おわかりだろうけれど、僕が思うに彼はこんなふうに思われたかったんじゃないかな。
いつだってファンや聴衆へ、彼が送り出したものは間違いなく誰にもまねできないオリジナルだった、と。
革新的だったとね。
彼は人に真似られることは気にしていなかったけれど、いつも自分はそれをする最初の人(パイオニア)でいたかったのです。
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彼がわたしたちに贈り続けてくれるものは、誰にも真似することができないほどの発想とアイデアの産物。
それら全てがマイケルを、マイケルたらしめる、まさにオリジナルなもの。
ところが不思議なことに、誰にもまねできないほどの独創性をもって彼から生み出されたものたちは
誰もが自然に口ずさめることができるメロディで
誰もが喜んでやりたくなるステップで
何だか簡単に真似をしたくなるようなものばかり
マイケルを特別好き、というわけではない友人(+主人w)何人かに「マイケル・ジャクソンと聞いて一番に何が思い浮かぶ?」と聞いたところ、7人中5人が「ムーンウォーク」と答えました。
そしてその5人が5人とも「ムーンウォークできるならやりたい♪」と答え、そのうち男性陣は「やってみて挫折した」と言ってましたw
1983年5月16日、パサディナ・シヴィック・オーディトリウムで収録された「モータウン 25」がNBCで放送されました。
その、音楽を取り巻く世界の歴史をある意味変えたに違いない番組内での、マイケルの初めてのBillie Jeanパフォのお披露目。
曲の間奏で、突然マイケルが軽やかに流れるようにいとも簡単そうに床を滑っていく姿を見た4500万人の視聴者の、そのほとんどの人々が「マイケルのあのステップ」を話題にし、実際に練習したというムーンウォーク。
遠い日本の、マイケルのファンでもなんでもない男子でも、一度は練習してしまいたくなる魔法のステップ。

もともとあったバックスライドというステップに、マイケルエッセンスが入った途端に、それは新しいステップとなり、一夜にして彼のオリジナルとして認知されたという、革新者マイケルを物語るひとつの例ですよね。
例えばウィットニーを真似るというのは、相当な歌唱力を持っていないとはなから相手にされない感じですが、マイケルの場合はフェドラを目深にかぶるとか、一目見れば「マイケルだ!」と思われるコスプレという奥の手を使うことができますし、パッと見、誰もが知っている楽曲にはそれほど歌唱力を要求されないように思えますし、彼の有名なダンスムーブを少しでもできれば何とか恰好がつきます。
それだけとっつきやすく、ハードルが高そうに思われないのですよね。
でも。
それら簡単に真似できそうに見えるステップも
なじみやすく誰でも口ずさめるメロディも
実際に踊ったり歌ったりするととてつもなく難しいことに気づきます。
ダンスはもちろん素人の手に負えませんが、プロのダンサーであってもマイケルと同じように踊ることのできる人
は、本当に少数ですよね。
振りは同じでも、ぶれない上半身だとか、しなやかだけどキレッキレでしかも品のある動きだとか、どの瞬間を切り取ってもさまになる目線、姿勢、角度、そういうものが、圧倒的に違う。
誰でもできそうなダンスムーブを披露しつつ、結局マイケル本人でなければ美しく踊れないという、究極に(意地悪で)難しいダンスなわけです。
歌に至っては、素人でもなんとか歌えるのは、実はサビ部分のほんの1フレーズだけだった、という歌がとても多い。
マイケルの持つ多種多様な歌唱テクニックがあるからこそ、名曲たちは人々の記憶に残ったのだと思います。
たおやかでのびやかな彼の声だからこそ心に響く歌もあれば、魂を振り絞り聞き手の魂をも揺り動かすような、パンチ力にあふれる歌い方だからこそ、感情をゆさぶられる歌もある。
その歌の持つメッセージを表現する感情を、難なく自分の声に乗せて、しかもその感情に一番しっくりおさまる声質で、一番しっくりくる歌い方で、生まれ持った絶対音感に基づく少しのピッチのずれもない美しい音程を、時にせつなく、時に激しく、時に穏やかに響かせることができる人。
そんな彼が歌うから感動する楽曲たち。
それがどんなに歌の上手い歌手が彼の歌を歌ったとしても、聴いてる側からすればどこか物足りない、と思う所以ではないでしょうか。
誰もが口ずさめるけれども、聴かせる歌にはならない。
それができるのは、やはりマイケル本人しかいないという。

でも「真似る」ことが悪いこととも思えない。
「マイケルみたいに踊りたい」
「マイケルのように歌いたい」
実は決して簡単に真似ることができない彼の創りだしたものたち。
それをやりたいと、やってのけたいと思う気持ちには、彼に対する深い愛情と敬意があると思うからです。
マイケルは、若いアーティストたちが自分を真似ることが、自分に対する敬意の表れなのだということをよくわかっていました。
なぜならば、マイケルこそ「真似る」ことからスタートした人だったから。
I have no problem with them imitating(me).
It’s a compliment.
Everybody has to start out looking up to someone.
For me it was James Brown, Sammy Davis Jr., Jackie Wilson, Fred Astaire, Gene Kelly.
(若いアーティストたちが)僕の真似をしていることは、何の問題もないよ。
それは僕への敬意からくるものなんだ。
誰でも誰かを目標にスタートするものだよ。
僕にとってはそれが、ジェームス・ブラウン、サミー・デイヴィスJr.、ジャッキー・ウィルソン、フレッド・アステア、ジーン・ケリーだったんだから。
TV-Guide interview (2001)より
ゲーリーの小さなおうちのリビングで。
テレビに映る憧れの人を見つめて。
大好きな彼らの歌を真似て、踊りを真似て。
いつしか見つめる先はテレビではなく、ステージへと変わっていったれども。
幼くして様々なステージに立った彼は、自分の出番が終わっても楽屋に帰らず、次から次に出てくる尊敬する偉大な先輩たちのステージを、そのステップや仕草、足さばき、観客ののせ方、いろいろなエッセンスを、全て吸収すべくステージの袖から食い入るように見つめていたといわれています。
彼が幼いころ、おそらくビデオはまだなかったでしょうから、今のようにスロー再生でコマ送り・・みたいなことはできないのですから、彼がどれだけ集中して目に焼き付けて、体で感じて、イメージを叩き込んだか。
彼らはなんて素敵ですごいんだろう、彼らのようになりたい、そしていつか彼らを超えたい
そんな強い情熱が、彼の持つ天性の才能を花開かせ、さらに伸ばし、さらに磨かせたのでしょうね。
若い時期、メモ魔の彼がいたるところに書いていた言葉。
Study the great of your field and become Greater.
自分の分野における偉人から学び、更に大きくなる
studying all the greats in the field and becoming greater.
その分野におけるすべての偉人から学びそしてより大きくなるんだ
Studying the greats in my field and becoming greater.
自分の分野の偉人から学んで、より大きくなること
(過去記事:The Giving Tree -最上級に自分を高め与える事を喜びとした人)
憧れのすごい人たちを注意深く観察し、分析し、彼らの持っているものを自分のものにするために真似て練習して、その先に彼らを超えるような自分だけのオリジナルな域に到達する・・
彼はそれをやってのけましたよね。
かつてはフレッド・アステアやジーン・ケリー、サミー・デイビスJr.のものだったなめらかで軽やかで品のある動き、もしくはジェームズ・ブラウンのものだったゴージャスでファンキーなステップ。
その他にもアーティストとして彼が憧れた無数の先輩たちの持っていた一級品を、ことごとく。
それらは今はもうマイケルのものとなり、それはすでに彼のオリジナルになり、しかも新たに生み出される彼のスタイルはとても革新的で、とっつきやすいのに実践は至難の業で、なのにそれらに魅了される人々は世代を選ばない。
土曜日のスマステの「日本人が好きな洋楽TOP20」でも10代~60代までの幅広い層で支持されて3位でしたね^^
まさにTimeless。
彼がそこへ到達するために自分に課した"Studying the greats in my field and becoming greater."
先人に学びさらなる高みを目指す
その精神みたいなものは、クリエイティブな世界に携わる人だけではなく、どんな分野でも当てはまると思うのですが、なんだかこのマイケルのスピリットに、まさにどんぴしゃ(死語?w)な動画に出会いました。
シルク・ド・ソレイユの " MICHAEL JACKSON THE IMMORTAL WORLD TOUR" 公式HPに振付師としてクレジットされているのは、おなじみのトラヴィス以外に7人。
いずれもそれぞれマドンナやブリトニー・スピアーズ、クリス・ブラウン、セリーヌ・ディオンその他そうそうたる顔ぶれのアーティストたちや、人気番組アメリカン・アイドルなどのパフォーマンスを手掛けてるなど、数多くの実績を積んだ人たちです。
その中にDANIEL “CLOUD” CAMPOS(ダニエル・クラウド・カンポス)がいます。

彼はマドンナのバックダンサーとしてブレイクし、昨年はマイケルの甥っ子、オギーでおなじみのAustin Brownの、おそらく今年発売される(はず)のデビューアルバム85のプロモビデオにも出演しています。
さあ、彼を見つけられるかな?w(Doo Dooおじさんも登場しています♪)
Austin Brown 85
それにしてもオギーのダンスは、本当にマイケル並みのセンスの良さ!

小っちゃかったAuggyが

こんなに立派に^^
むちゃくちゃ楽しみなジャクソンDNAの若き担い手ですよね。
彼は今年85とHighway To The Skyという2アルバムのリリースを予定していて、バレンタインデーには新曲Menage A Troisをリリースしました。
どことなく懐かしのモータウンサウンドが感じられる楽曲。
ダンスだけではなく彼の、ほんの一瞬感じられるMJライクなボーカルも魅力的な1曲です^^
で、そのダニエルさんですが。
彼はダンサーや振付師という枠にとどまらず、自身で総監督も主演も務めた映像作品を沢山Youtubeで公開しています。
実は彼を調べている途中で、彼に関する、さらにこれからわたしがお話ししたいことを、大変詳しく緻密にわかりやすく解説してくださっている記事を見つけました。
もうこれ見てください!っていう感じなんですけれどw
コメントを受け付けておられないので、リンクの了解を得ていないのですが(汗)、MJのことも素晴らしすぎる記事を書かれていますので、興味のある方はぜひこちらから。
で、そのYoutubeですがw
本編の前に4本も予告編があるのですが、ダニエル本人が、ある日自分のアパートのエレベーターで見慣れないスーツケースを見つけるところから物語は始まります。
鍵がかかっていて中身はわからず、誰かの忘れ物かとアパートに「スーツケース預かってます」というお知らせの紙を貼って、とりあえず部屋に保管することにしたダニエル。
不思議なスーツケースはいったい誰のもので中には何が入っているのか?そしていよいよ本編でその謎が明かされる!というちょっとサスペンス風な展開。
Like Mike - Daniel Cloud Campos
貸しスタジオに例のスーツケースを下げて入ってくるダニエルですが、なんだかすでに普段の彼じゃない感じ。
あきらかに「MOONWALKER」の雰囲気w
スタジオBを借りたいと受付で話す声は、あの甘くてか細いハイトーンボイス!
7時からレッスンで使うので40分しか使えないと言われても、Bスタジオになぜかこだわるダニエルは、そのままBスタジオを借りるのです。
スタジオに入ると、ああ、こつこつと靴音を鳴らす足のズーム!
スーツケースを静かにあけると、中からはスモークとともに黒いスパンコールのジャケットが!
そして光り輝くスパンコールの手袋が!
最後は黒のフェドラ帽が!
ああ、なんていうこと!
このスーツケースの持ち主はMJ!
中身は正真正銘のMJ変身グッズだった!!!

シャキーーンw
3点セットを身に着けたダニエルは、もはや完璧にMJになりきって踊ること踊ることww
これがまた・・なんていうか、顔はマイケルと似ても似つかないのに、あごもしゃくれてるしねw
なのに、体型が似ているせいかいちいちなんだか似ているわけで。
MJのSFに似たカメラワーク、カット割りで、彼がとても研究してこの映像を作っているということがわかります。
そして、ダンスはさすがにほぼ完ぺき。
わたしはもともと誰がMJのダンスを踊っても斜めから見ることはないのですが、ダニエルのダンスはわたしの目にはかなり完璧に見えました。
そう、彼はここでMJになりきらなければならなかったのです。
なぜなら、この短編映画でこのシーンはとても重要、なぜかMJのスーツケースにめぐりあった人間が、魔法のMJ3点セットを手に入れると、まるでMJのように踊ることができるというシーンだからです。
LIKE MIKE
マイクのように
おそらくこのタイトルとコンセプトのヒントとして、マイクはマイクでも、マイケル・ジョーダンのマイクで、日本では未公開の映画(DVDは発売されています)からきているのでは?と思えてならないのですが。
LIKE MIKE 邦題「ロスト・キッズ」(2002)
孤児院暮らしのカルヴィン(バウ・ワウ)少年は、ある日「MJ」のイニシャル入りのスニーカーを手に入れました
。
これを履いたカルヴィンは、まるでマイケル・ジョーダンのように軽々とダンクを決めたり、シュートが笑ってしまうぐらい決まってしまうバスケ名人になっちゃいます。
この魔法のスニーカーを履いてなんとNBAのナイツに入団しちゃって、なんと彼の活躍でチームは大躍進を遂げていくのですが・・といった内容。

主人公を演じた当時12歳のバウ・ワウは、実はマイケル以来の大ヒットを繰り出した最年少ソロラッパーとしてギネスブックに登録されているそうで、しかも当時のインタビューで好きな歌手はマイケル・ジャクソンと答えているステキBOY。今はラッパーとして活躍中だとか。(知らなかった、ごめんね)
この映画でキーとなる「MJ」イニシャル入りのスニーカー。
マイケル・ジョーダンになれちゃう魔法のスニーカー。
これが、ダニエルの映画では、スーツケースの中の魔法のMJ3点セットというわけで、これをつけると、まさにマイクのようになれちゃう、LIKE MIKE、なわけで。
だから、このシーンでは絶対に、ダニエルのダンスの才能をいかんなく発揮させて、完璧にMJになりきる必要があったのですね。
大成功!わたしは思わず拍手してしまいましたもの^^
ですけれど、ここからがこの短編映画の本質へとつながります。
MJのように次々と「いかにもMJ」と呼ぶにふさわしいダンスムーブをすらすらとやってのけるダニエル。
「マイクのように踊っている!」とでも言いたげな生き生きとしたダニエルの姿。
ところが、MJの、やはり代名詞ともいえるキックを華麗に決めようとした時に、なんということ!
ダニエルは足を骨折!(爆笑w)
NOOOOO!
叫んだ拍子に反対の足も骨折!(なんでw)
ダニエルが床に倒れこむ瞬間に、これ以上ないぐらいのタイミングで聞こえるマイケルの「Who's Baaaad(フズベー!)」(腹を抱えてワロタww)
その時に映し出される文字が。
DON'T IMITATE... ORIGINATE
模倣するな・・創りだせ
完璧にMJになりきれるダンスの才能がありながら、ダニエルはこれをただMJのダンスムーブを踊るだけの作品にはしていません。
この短編の最後は大笑いの、でもちょっとシュールな終り方をしますが、ダニエルがこの映画に込めたマイケルに対する熱くて深いリスペクトと、そしてマイケルが大切にしていた精神、「先人に学びさらなる高みを目指す」ことが根底に流れているように感じてなりませんでした。
目標にしたい憧れの人を初めは真似ても、最後にはその人を超えて自分独自の高みを目指すのだと。
この「LIKE MIKE」に書かれたダニエルのメッセージ。(訳は先ほどご紹介したブログ様よりお借りしましたm(__)m)
Some things should never be found... some things should never be opened.... and some things should never be stolen. There will never be another... Like Mike. Be true to yourself and there will never be another like YOU...
This is a short film dedicated to the KING himself!! Michael Jackson we miss the magic that you continue to spread around the world with your music, the power of change that you have planted into our hearts with your message, the energy you projected into all of our souls through your moves and the tears of joy and inspiration you have given us through your voice. We are forever grateful for your gifts :)) We love you MJ!!!
決して拾ってはいけないものがある。決して開けてはいけないものがある。・・そして、決して盗んではいけないものがある。比類なき人がいる・・マイクのように。自分自身に忠実であれ。そうすれば“自分”という比類なき存在になれる・・。
これは“キング”その人に捧げるショート・フィルムです。マイケル・ジャクソン、あなたが音楽を通じて世界中に広め続けた魔法、メッセージを通じて僕たちの心に根付かせてくれた変化する力、ダンスを通じて僕たちの魂に注ぎ込んでくれたエネルギー、歌声を通じて僕たちに与えてくれた歓喜と感動の涙が忘れられません。あなたの贈り物に永遠に感謝します。MJ、僕たちはあなたを愛しています!!!
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涙でてきた(/_;)
「全ての創造は模倣から始まる」という言葉がありますが、模倣で終わってしまえばそれは創造ではないのですね。
ただマイケルを模倣しても、それはただのイミテーション。
創造者は、比類なきこの人から多くのことを学び、そして自分に向き合い自分しか創れないものに心血を注げ。
模倣の先の境地に手を伸ばしてはじめて、「マイケルのもの」から、自分だけのオリジナルにたどり着けるのだから。
そんな風に伝わってきて。
そしてダニエルがどれだけマイケルを敬愛し、彼から贈られたものを大切にしようとしているかが、しみじみと感じられて、すくなくともマイケルイズムのような精神は、本当の才能を持ち、高みを目指す人たちに確実に受け継がれているのだと。
ダニエルはおそらく、IMMORTALでの振り付けを通じてマイケルの素晴らしさを目の当たりにし、彼のすごさを再認識したことで、自身の最新作は、これこそトリビュートというにふさわしいものに仕上げたかったのではないかと思います。
ダニエル自身が、ダンスだけではなくマイケルも魅了された映像の世界でも独自の感性をこうして表現し続ける人だということを知ったら、マイケルはきっと喜んだのではないかなと。
ダニエルの「LIKE MIKE」は、うまく言えませんが、あのダンスシーンがこのファンタジー作品のストーリーの重要な核だったから、完全にひとつの短編映画として独立して観ることができた。
だからでしょう、何回も観て爆笑して、ダニエルがスーツケースを開けるシーンとかから本当にわくわくして、完璧なMJダンスを踊るシーンを純粋に心から楽しめたのです、わたしはね^^
マイケルは一度も出てこないのに、小道具ひとつで、指先の動作ひとつで、「おおMJ!」と誰もに思わせてしまうとは、マイケルの創りだしたものたちが、いかに底知れないパワーでもってわたしたちの記憶に深く濃く刻まれたかがあらためて。
その記憶はこれからもずっと。
I always want to do music that inspires or influences another generation.
You want what you create to live, be it sculpture or painting or music.
Like Michelangelo, he said, “I know the creator will go, but his work survives.
That is why to escape death, I attempt to bind my soul to my work.’
And that’s how I feel.
I give my all to my work. I want it to just live.
僕はいつも、自分とは違う世代を動かしたり影響を与える音楽をやりたいと思っているんだ
自分が創造するものには、彫刻か絵画か音楽か、何にしても、長く生きていて欲しいと思うものさ
ミケランジェロのようにね、彼はこう言った
「私は、創作者はいなくなっても、その作品は永く生き続けることを知っている
それゆえ、私は死から逃げるために、自分の魂を作品に縛りつけようと試みる」とね
僕も、そんなふうに感じている
僕の魂のすべてを自分の作品に与えているよ、その作品が永く生き続けてほしいから

だいじょうぶ
永く生き続けるよ マイケル
だってあなたの魂を注ぎ込んだ音楽やダンスや
あなたを象徴するシンボルたちは
Original
Innovative
Timeless
誰にもまねできない
革新的な
時代を超えたものなのだから
だから、ずっとずっと生き続けるから
ミケランジェロが誰なのかなんて知らない小さな子供が
あなたの曲では踊るのよ
だいじょうぶ
今この瞬間も
世界のどこかで誰かが
あなたの曲をくちずさみ
あなたの曲で踊り
あなたのダンスで心躍らせ
あなたの生き方に胸を熱くしているから
あなたの生み出したものすべては
わたしたちとともにずっと
ずっと
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