Study the greats & Become greater その4
マイケル・ジャクソンを真似るなんて不可能だ。どうしてわざわざそんなことをする? 肩の力を抜いてゆったりと見惚れていればいいのさ - Mikhail Baryshnikov
2006年から2008年までマイケルが拠点にしていたラスベガスへも、ドーメシアは通い続けました。
「時々スタジオへ行く途中に末っ子のブランケットを見かけたわ。
この2年の間は、(※記事は2009年のもの)ラスベガスの彼の家のスタジオでレッスンをしていたの。
一度、私たちふたりともステップをとちっちゃって、踊りがグダグタになった時があったのだけど、その時ブランケットがドアのところで笑っていたの。
とてもステキな瞬間だった。ブランケットがいるととても楽しいの*。
マイケルは、タップダンスを愛していたわ。
ニコラス・ブラザーズとフレッド・アステアを本当に愛してた。
彼は、自分の望みがはっきりしていたの。
タップが奏でるリズムが好きだったのよ。
私のタップをよく座って見ていたわ」
大抵ドーメシアの方が早くスタジオに入って、マイケルを待つ間、彼女はタップシューズを履いてウォーミングアップをしていました。
スタジオに入ってきたマイケルは、タップを踏む彼女を座ってじっと観察するように見ていました。
そして彼女がタップを終えたら、「Wow! Those rhythms are great 君のタップが奏でるリズムは素晴らしいね」と言ったそうです。
マイケルが彼女のタップシューズに贈った言葉

Dormeshia You're excellent Honestly
ドーメシア 君は最高 本当だよ
タップダンスには主に、アステアやジーン・ケリーに代表されるような、ただステップを踏むだけではなく、音楽に合わせた上半身の振付けもある「ブロードウェイスタイル」と、リズムを重視し、シンプルにステップが中心の「リズムタップ」があるそうです。
振付などなくもちろん音楽もなく、体全体を大きく使って強弱をつけ、自分たちの踵の音そのものが音楽になるスタイル。
リズムタップは、もともとアフリカから奴隷として連れてこられた黒人たちが、仲間同士で会話することを禁じられたことで、足を鳴らしてコミュニケーションをとったのが始まりだと言われているほどの、黒人の魂の踊り、魂のルーツでもあるダンスなのだそうです。
踵を蹴り、つま先を踏み、そうして自分たちの感情を音に託して響かせる声無き言葉。
彼ら黒人には、ストンプに表現されるように、モップの音、グラスがぶつかる音、そして足音といった単なる音たちからビートを生み出し、そのビートが紡ぐリズムに身を任せるうちに、あるいは自分の鼓動をリズムと共振させるうちに、自然に踊り出さずにはいられないDNAが、広大な大地と共に生きていた時代にはじまり、哀しい歴史に翻弄された祖先を経て、何世代にもわたって脈々と受け継がれているように思えるのです。
When I dance, if you’re a dancer, you know, you’re just interpreting the sounds and the accompaniment of the music.
If there’s a driving bass, you become the bass.
If there’s a cello or if there’s a string, you become that.
So you become the emotion of what that sound is.
中略
・・So I’m a slave to the rhythm.
僕、というかダンサーが踊る時は、音楽に付随している音たちを読み取って表現しているんだ
もしノリのいいベース音があれば、そのベース音になる
チェロや他の弦楽器の音ならその音になる
音の持つ感情そのものになるんだ
・・つまり僕は奴隷のようにリズムに抗えないのさ

これは1993年のオプラ・ウィンフリーショーで、「股間に手をやるのはなぜか」と直球で聞かれたマイケルのお答え部分の抜粋です。
略した部分は「そんなふうに音に感情移入しているから無意識なわけで、音楽がそうさせてるわけで、あとからそんなしぐさをしているのがわかってびっくり」みたいな、普通の人が聞いたら下手な言い訳に聞こえそうなことを語っているので省いています。
基本わたしは例の動きは絶対に確信犯だと思っていますがw、「音の持つ感情そのものになる」と言っている箇所はまさにリズムタップダンサーの言葉に思えます。
I’m a slave to the rhythm ― 僕はリズムのとりこだと語ったマイケルも、もちろん例外でなく前述の魂のルーツが刻まれたDNAの持ち主であって、その遺伝子に導かれるように、自分が信じる感覚のままに踵を蹴ることで、自分の喜怒哀楽の感情を音に乗せ、あたかも自分自身がリズムを奏でる楽器になる、そんなリズムタップを愛した人だったのではないでしょうか。
その上で、エンターテイメントに誠実な彼は、文化でさえ人種の垣根に区分けされがちだった時代の慣習に惑わされることなく、素晴らしいものは素晴らしいとして純粋に、白人のアステアが優雅に舞いながら蹴ったタップをはじめ、さまざまな分野の要素を自分スタイルへ組み入れていったのだと思います。
その要素のひとつには、おそらくバレエも影響していたでしょうね。
This Is It・DVDの特典映像の中で、トラヴィスとほんの少しバレエの話をしていますよね。
トラビスが「ジュテ(跳躍)とかリフトとかあるでしょ?バレエのそういうのを見るのが大好きなんだ、バリシニコフとかも」みたいなことを言うと、マイケルも
「It's beautiful. It's the most disciplined of all the forms of dance. バレエは美しいよね。数ある踊りの中で最もフォームが整っているよ」と答えていました。
フォーム。
バレエの基礎は一にも二にも「正しく美しいフォーム」だと聞いたことがあります。
型がきちんと決まっていて、そのうえで指先、つま先まで神経を行き届かすことが大事、とはいっても決して固くなってはいけなくて、あくまで動きは柔らかく、といった。
わたしのような素人が観ていても、美しく踊るバレエダンサーはとにかく体幹がしっかりしていて、上半身が猫のように柔らかくしなやかに動くのだけれど、決してブレずに最後にはぴたっと正しい姿勢をキープしているように思います。
軸がゆるがず美しいフォームを維持するということは、背筋と腹筋が想像以上に鍛えられているのでしょうけれど、それを微塵にも感じさせない柔軟さも備わっていなければならないのでしょうね。
マイケルのダンスにも同じことを感じませんか?
天性に備わっていた卓越したリズム感と柔軟性、そしてどれだけ激しくステップを踏んでいても、それに引っ張られて惰性で上体が動くことはなく、上体に振りがあっても、決め時のポージングでは全くぶれることのない、その上半身を支える体幹の揺るがなさ。
上体の重心が後にも前にも偏らないことで生まれる美しさ。
以前にも書いたような気がしますが、それはまるで、どれだけ水面下で激しく脚を動かして水をかいていても、水上に出ている姿は微々とも動かず、いかにも優雅に水面を滑る白鳥の姿を見るようなのです。
トラビスが引き合いに出した偉大なバレエダンサー、ミハイル・バリシニコフ。
彼はピルエット(回転)の神様と呼ばれていたそうです。
マイケルはタップの先生を紹介して、とデビー・アレンにお願いしましたが、こんなお願いも彼女にしたそうです。
「彼は「バリシニコフのようなピルエットを教えて欲しいんだ」と言いました。
だから私は言ったのです。「あなたは、すでにバリシニコフよりうまく回っているわよ」って」
そのピルエットの神様が、2009年に冒頭の言葉を語りました。
1986年5月に、エリザベス・テイラーを介してバリシニコフ(同じ年に彼はアメリカに帰化していました)に会ったマイケルは、バリシニコフ曰く「12歳の子供のように」多くの質問をしてきたそうです。

ハーイ!よい子のみんな、リチ男だよ!僕もこん時一緒だったんだ~♪
彼らはバレエについても沢山の話をしたそう。
そして彼は、マイケルのことをこんな風に語っています。
「彼について最も思い出されることは、彼のターンでも股間掴みでもない。
彼のなんてことない普通の動きだよ。
リズムに乗って弾むようにステージを横切る歩き方とか、腰を揺らす、飛び跳ねる・・そういう動きが最も美しく、そして人目を引くんだ。
僕にとって彼とは、自分の肉体に絶大なる信頼を寄せているダンサーだ。
わお、こいつはなんて奴だ、自分の好きなように動けている!と言いたかったよ」
天才と評されたバリシニコフに「自分の思い通りに体を操ることができて、しかもステージ上の何気ない普通の動きが美しい」と言わしめた彼。
強靭な体幹としなやかさを生む柔軟性、リズムと一糸乱れずに動くことができる身体能力、そして何よりも自然な優美さ。
ダンサーならば誰もが欲しがるそれらを完璧に備えたダンサーだと。
バリシニコフの言葉は、舞踊に携わる者同士で贈ることができる最大の賛辞だったのではないかと。
マイケルの事ならばなんだっていいように解釈しすぎっていわれるかな?
でもいいんだ。そう思うんだもんww
で、えーと・・あれ?また脱線していますかこれ?w
ドーメシアが最後にマイケルと一緒に踊ったのは2008年の9月だったそうです。
「彼は「大きなプロジェクトに取り掛かっているんだ」と話していたわ・・
彼はフレッド・アステアとニコラス・ブラザーズのタップスタイルを研究して、自分のスタイルに融合しようとしていたのよ」
大きなプロジェクト
THIS IS IT
正式契約の1か月前
They are getting an element of me, They are never seen before
観客は今まで見たことがない僕の一面を見ることになるよ
From bonus footage of THIS IS IT DVD

見たことのない一面に
あの黒革のタップシューズで床を蹴る姿・・も含まれていたのでしょうか
誰にも真似のできない高みへ登るために
誰も見たことのない自分を魅せるために
Study the greats and Become greater
自分より優れていると認めた人に教えを乞い、自分の感性が必要だと思ったことを吸収し、どこまでも謙虚に、そして貪欲に、自分自身の思う頂点へと自分を高める努力を怠らなかった人。
学んで研究して練習する・・そういった努力を自分に課すからこそ、月並みなものでは絶対に満足しない人。
ドーメシアの言葉です。
「エイトカウントの最初のワンに4時間レッスンを費やそうとも、完全に体に叩き込むまで次のカウントに進もうとしない人だった。
マイケルはダンスに対してそんな敬意と愛情を持っていたの・・」
似たような事を、BAD25ドキュメンタリーにも出ていたお馴染みBeat Itでナイフを振りかざす一触即発にいちゃんのひとりをあくまでも演じたw 振付師のヴィンセント・パターソンが語っています。
「マイケルの完璧主義を物語るいい例えがあるよ。
Smooth Criminalのダンスの中で、何度も繰り返す一連のダンス・フレーズがあって・・
僕が振付けたところなんだけど、マイケルは鏡の前で何度も何度も同じカウントを4時間も練習していたんだ。
僕は彼のそばに行っては言い続けた、「マイケルこっちに来なよ・・ 休憩しよう」とね。
でも彼はこう言うんだ。
「No, Vincent…I want to do this ‘til it’s perfect. いや、いいんだよ、ヴィンセント・・完璧に踊れるまでやりたいんだ。」
マイケルは自分自身にとても厳しかったよ」
マイケルが4時間もひたすら練習した「何度も繰り返す一連のダンス・フレーズ」って?
まさか誰もが知っているSmooth Criminalの象徴ともいえるあのルーティン・・

磨けば磨くほどまばゆい輝きを増していくダイヤモンドのように
手をかければかけるほど麗しく咲き誇る薔薇のように
自己へのハードルを上げ続け、なおPerfectを追い求めた人。
ダンスは Michael Jacksonを構成する一つの要素にすぎない。
でもそのたったひとつにこれだけのこだわりと信念。
自らに限界を設けることなく頂点を目指すからこその完璧主義。
ならば
そのゴールへ到達するための取捨選択は彼にとって必然。
その道程にふさわしくないものを「切り捨てた」のではなく、必要なものを「選んだ」のだと
わたしは思います。
Study the greats and Become greater
わたしたちは知っています。
彼がそれを成し遂げたのだということを。
さまざまな偉大なる先人に学び、吸収する姿勢を崩さず、完璧を求め努力を怠らなかったからこそ、人々に刺激を与えインスピレーションを与え、感動を与える存在になり得たのだと。
今この時、彼自身が誰かのGreatなのです。
11年間、彼にタップを教えたDormeshia Sumbry-Edwards ドーメシア・サンブリー・エドワーズはマイケル・ジャクソンを世界で最も偉大なエンタテイナーだと考えています。
「何十年もの間、彼は沢山のダンサーを奮い立たせてきたし
There are still aspiring entertainers who are studying Michael
いまだにマイケルを研究している若い意欲的なエンタテイナーがたくさんいるのだから」
そう。わたしたちは知っています。
He study the greats and DID become greater.
またもや長い思い込み大爆発な記事になりました。
実はこれを書いている途中で「絶対書きたい!どうしても書きたい!」というのが出てきたんですけれど、それ書いたら収拾がつかなくなりますので
ここで一旦終わりにしますw
ここまでお付き合いくださった方に今日も感謝を^^
--------------------------------
<ご注意>
*ドーメシアがブランケットと交流するくだりは、わたしの英語レベルではむずかしく、相当思い入れと思い込みの激しい意訳になりました。きちんと確認したい方は下記原文をお読みくださいませw
基本マイケルを語る人の言葉は忠実に訳し(たつもりw)ましたが、今回の記事内容の流れ上、原文記事は、概要的に参考にさせてもらいました。
※参考記事source
■Michael Jackson’s Love of Tap
■Tap's Leading Lady
■Michael Jackson planned to channel Fred Astaire for 'This Is It' shows
■Sarah Kaufman Analyzes the Magic Behind Jackson's Dancing
■BAD 25 SHINES LIGHT ON MICHAEL JACKSON’S MOST UNDERRATED ALBUM, ERA, AND COMPETITIVE OBSESSIONS
2006年から2008年までマイケルが拠点にしていたラスベガスへも、ドーメシアは通い続けました。
「時々スタジオへ行く途中に末っ子のブランケットを見かけたわ。
この2年の間は、(※記事は2009年のもの)ラスベガスの彼の家のスタジオでレッスンをしていたの。
一度、私たちふたりともステップをとちっちゃって、踊りがグダグタになった時があったのだけど、その時ブランケットがドアのところで笑っていたの。
とてもステキな瞬間だった。ブランケットがいるととても楽しいの*。
マイケルは、タップダンスを愛していたわ。
ニコラス・ブラザーズとフレッド・アステアを本当に愛してた。
彼は、自分の望みがはっきりしていたの。
タップが奏でるリズムが好きだったのよ。
私のタップをよく座って見ていたわ」
大抵ドーメシアの方が早くスタジオに入って、マイケルを待つ間、彼女はタップシューズを履いてウォーミングアップをしていました。
スタジオに入ってきたマイケルは、タップを踏む彼女を座ってじっと観察するように見ていました。
そして彼女がタップを終えたら、「Wow! Those rhythms are great 君のタップが奏でるリズムは素晴らしいね」と言ったそうです。
マイケルが彼女のタップシューズに贈った言葉

Dormeshia You're excellent Honestly
ドーメシア 君は最高 本当だよ
タップダンスには主に、アステアやジーン・ケリーに代表されるような、ただステップを踏むだけではなく、音楽に合わせた上半身の振付けもある「ブロードウェイスタイル」と、リズムを重視し、シンプルにステップが中心の「リズムタップ」があるそうです。
振付などなくもちろん音楽もなく、体全体を大きく使って強弱をつけ、自分たちの踵の音そのものが音楽になるスタイル。
リズムタップは、もともとアフリカから奴隷として連れてこられた黒人たちが、仲間同士で会話することを禁じられたことで、足を鳴らしてコミュニケーションをとったのが始まりだと言われているほどの、黒人の魂の踊り、魂のルーツでもあるダンスなのだそうです。
踵を蹴り、つま先を踏み、そうして自分たちの感情を音に託して響かせる声無き言葉。
彼ら黒人には、ストンプに表現されるように、モップの音、グラスがぶつかる音、そして足音といった単なる音たちからビートを生み出し、そのビートが紡ぐリズムに身を任せるうちに、あるいは自分の鼓動をリズムと共振させるうちに、自然に踊り出さずにはいられないDNAが、広大な大地と共に生きていた時代にはじまり、哀しい歴史に翻弄された祖先を経て、何世代にもわたって脈々と受け継がれているように思えるのです。
When I dance, if you’re a dancer, you know, you’re just interpreting the sounds and the accompaniment of the music.
If there’s a driving bass, you become the bass.
If there’s a cello or if there’s a string, you become that.
So you become the emotion of what that sound is.
中略
・・So I’m a slave to the rhythm.
僕、というかダンサーが踊る時は、音楽に付随している音たちを読み取って表現しているんだ
もしノリのいいベース音があれば、そのベース音になる
チェロや他の弦楽器の音ならその音になる
音の持つ感情そのものになるんだ
・・つまり僕は奴隷のようにリズムに抗えないのさ

これは1993年のオプラ・ウィンフリーショーで、「股間に手をやるのはなぜか」と直球で聞かれたマイケルのお答え部分の抜粋です。
略した部分は「そんなふうに音に感情移入しているから無意識なわけで、音楽がそうさせてるわけで、あとからそんなしぐさをしているのがわかってびっくり」みたいな、普通の人が聞いたら下手な言い訳に聞こえそうなことを語っているので省いています。
基本わたしは例の動きは絶対に確信犯だと思っていますがw、「音の持つ感情そのものになる」と言っている箇所はまさにリズムタップダンサーの言葉に思えます。
I’m a slave to the rhythm ― 僕はリズムのとりこだと語ったマイケルも、もちろん例外でなく前述の魂のルーツが刻まれたDNAの持ち主であって、その遺伝子に導かれるように、自分が信じる感覚のままに踵を蹴ることで、自分の喜怒哀楽の感情を音に乗せ、あたかも自分自身がリズムを奏でる楽器になる、そんなリズムタップを愛した人だったのではないでしょうか。
その上で、エンターテイメントに誠実な彼は、文化でさえ人種の垣根に区分けされがちだった時代の慣習に惑わされることなく、素晴らしいものは素晴らしいとして純粋に、白人のアステアが優雅に舞いながら蹴ったタップをはじめ、さまざまな分野の要素を自分スタイルへ組み入れていったのだと思います。
その要素のひとつには、おそらくバレエも影響していたでしょうね。
This Is It・DVDの特典映像の中で、トラヴィスとほんの少しバレエの話をしていますよね。
トラビスが「ジュテ(跳躍)とかリフトとかあるでしょ?バレエのそういうのを見るのが大好きなんだ、バリシニコフとかも」みたいなことを言うと、マイケルも
「It's beautiful. It's the most disciplined of all the forms of dance. バレエは美しいよね。数ある踊りの中で最もフォームが整っているよ」と答えていました。
フォーム。
バレエの基礎は一にも二にも「正しく美しいフォーム」だと聞いたことがあります。
型がきちんと決まっていて、そのうえで指先、つま先まで神経を行き届かすことが大事、とはいっても決して固くなってはいけなくて、あくまで動きは柔らかく、といった。
わたしのような素人が観ていても、美しく踊るバレエダンサーはとにかく体幹がしっかりしていて、上半身が猫のように柔らかくしなやかに動くのだけれど、決してブレずに最後にはぴたっと正しい姿勢をキープしているように思います。
軸がゆるがず美しいフォームを維持するということは、背筋と腹筋が想像以上に鍛えられているのでしょうけれど、それを微塵にも感じさせない柔軟さも備わっていなければならないのでしょうね。
マイケルのダンスにも同じことを感じませんか?
天性に備わっていた卓越したリズム感と柔軟性、そしてどれだけ激しくステップを踏んでいても、それに引っ張られて惰性で上体が動くことはなく、上体に振りがあっても、決め時のポージングでは全くぶれることのない、その上半身を支える体幹の揺るがなさ。
上体の重心が後にも前にも偏らないことで生まれる美しさ。
以前にも書いたような気がしますが、それはまるで、どれだけ水面下で激しく脚を動かして水をかいていても、水上に出ている姿は微々とも動かず、いかにも優雅に水面を滑る白鳥の姿を見るようなのです。
トラビスが引き合いに出した偉大なバレエダンサー、ミハイル・バリシニコフ。
彼はピルエット(回転)の神様と呼ばれていたそうです。
マイケルはタップの先生を紹介して、とデビー・アレンにお願いしましたが、こんなお願いも彼女にしたそうです。
「彼は「バリシニコフのようなピルエットを教えて欲しいんだ」と言いました。
だから私は言ったのです。「あなたは、すでにバリシニコフよりうまく回っているわよ」って」
そのピルエットの神様が、2009年に冒頭の言葉を語りました。
1986年5月に、エリザベス・テイラーを介してバリシニコフ(同じ年に彼はアメリカに帰化していました)に会ったマイケルは、バリシニコフ曰く「12歳の子供のように」多くの質問をしてきたそうです。

ハーイ!よい子のみんな、リチ男だよ!僕もこん時一緒だったんだ~♪
彼らはバレエについても沢山の話をしたそう。
そして彼は、マイケルのことをこんな風に語っています。
「彼について最も思い出されることは、彼のターンでも股間掴みでもない。
彼のなんてことない普通の動きだよ。
リズムに乗って弾むようにステージを横切る歩き方とか、腰を揺らす、飛び跳ねる・・そういう動きが最も美しく、そして人目を引くんだ。
僕にとって彼とは、自分の肉体に絶大なる信頼を寄せているダンサーだ。
わお、こいつはなんて奴だ、自分の好きなように動けている!と言いたかったよ」
天才と評されたバリシニコフに「自分の思い通りに体を操ることができて、しかもステージ上の何気ない普通の動きが美しい」と言わしめた彼。
強靭な体幹としなやかさを生む柔軟性、リズムと一糸乱れずに動くことができる身体能力、そして何よりも自然な優美さ。
ダンサーならば誰もが欲しがるそれらを完璧に備えたダンサーだと。
バリシニコフの言葉は、舞踊に携わる者同士で贈ることができる最大の賛辞だったのではないかと。
マイケルの事ならばなんだっていいように解釈しすぎっていわれるかな?
でもいいんだ。そう思うんだもんww
で、えーと・・あれ?また脱線していますかこれ?w
ドーメシアが最後にマイケルと一緒に踊ったのは2008年の9月だったそうです。
「彼は「大きなプロジェクトに取り掛かっているんだ」と話していたわ・・
彼はフレッド・アステアとニコラス・ブラザーズのタップスタイルを研究して、自分のスタイルに融合しようとしていたのよ」
大きなプロジェクト
THIS IS IT
正式契約の1か月前
They are getting an element of me, They are never seen before
観客は今まで見たことがない僕の一面を見ることになるよ
From bonus footage of THIS IS IT DVD

見たことのない一面に
あの黒革のタップシューズで床を蹴る姿・・も含まれていたのでしょうか
誰にも真似のできない高みへ登るために
誰も見たことのない自分を魅せるために
Study the greats and Become greater
自分より優れていると認めた人に教えを乞い、自分の感性が必要だと思ったことを吸収し、どこまでも謙虚に、そして貪欲に、自分自身の思う頂点へと自分を高める努力を怠らなかった人。
学んで研究して練習する・・そういった努力を自分に課すからこそ、月並みなものでは絶対に満足しない人。
ドーメシアの言葉です。
「エイトカウントの最初のワンに4時間レッスンを費やそうとも、完全に体に叩き込むまで次のカウントに進もうとしない人だった。
マイケルはダンスに対してそんな敬意と愛情を持っていたの・・」
似たような事を、BAD25ドキュメンタリーにも出ていたお馴染みBeat Itでナイフを振りかざす一触即発にいちゃんのひとりをあくまでも演じたw 振付師のヴィンセント・パターソンが語っています。
「マイケルの完璧主義を物語るいい例えがあるよ。
Smooth Criminalのダンスの中で、何度も繰り返す一連のダンス・フレーズがあって・・
僕が振付けたところなんだけど、マイケルは鏡の前で何度も何度も同じカウントを4時間も練習していたんだ。
僕は彼のそばに行っては言い続けた、「マイケルこっちに来なよ・・ 休憩しよう」とね。
でも彼はこう言うんだ。
「No, Vincent…I want to do this ‘til it’s perfect. いや、いいんだよ、ヴィンセント・・完璧に踊れるまでやりたいんだ。」
マイケルは自分自身にとても厳しかったよ」
マイケルが4時間もひたすら練習した「何度も繰り返す一連のダンス・フレーズ」って?
まさか誰もが知っているSmooth Criminalの象徴ともいえるあのルーティン・・

磨けば磨くほどまばゆい輝きを増していくダイヤモンドのように
手をかければかけるほど麗しく咲き誇る薔薇のように
自己へのハードルを上げ続け、なおPerfectを追い求めた人。
ダンスは Michael Jacksonを構成する一つの要素にすぎない。
でもそのたったひとつにこれだけのこだわりと信念。
自らに限界を設けることなく頂点を目指すからこその完璧主義。
ならば
そのゴールへ到達するための取捨選択は彼にとって必然。
その道程にふさわしくないものを「切り捨てた」のではなく、必要なものを「選んだ」のだと
わたしは思います。
Study the greats and Become greater
わたしたちは知っています。
彼がそれを成し遂げたのだということを。
さまざまな偉大なる先人に学び、吸収する姿勢を崩さず、完璧を求め努力を怠らなかったからこそ、人々に刺激を与えインスピレーションを与え、感動を与える存在になり得たのだと。
今この時、彼自身が誰かのGreatなのです。
11年間、彼にタップを教えたDormeshia Sumbry-Edwards ドーメシア・サンブリー・エドワーズはマイケル・ジャクソンを世界で最も偉大なエンタテイナーだと考えています。
「何十年もの間、彼は沢山のダンサーを奮い立たせてきたし
There are still aspiring entertainers who are studying Michael
いまだにマイケルを研究している若い意欲的なエンタテイナーがたくさんいるのだから」
そう。わたしたちは知っています。
He study the greats and DID become greater.
またもや長い思い込み大爆発な記事になりました。
実はこれを書いている途中で「絶対書きたい!どうしても書きたい!」というのが出てきたんですけれど、それ書いたら収拾がつかなくなりますので
ここで一旦終わりにしますw
ここまでお付き合いくださった方に今日も感謝を^^
--------------------------------
<ご注意>
*ドーメシアがブランケットと交流するくだりは、わたしの英語レベルではむずかしく、相当思い入れと思い込みの激しい意訳になりました。きちんと確認したい方は下記原文をお読みくださいませw
基本マイケルを語る人の言葉は忠実に訳し(たつもりw)ましたが、今回の記事内容の流れ上、原文記事は、概要的に参考にさせてもらいました。
※参考記事source
■Michael Jackson’s Love of Tap
■Tap's Leading Lady
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